東レ(東京都中央区)は10月7日、MLCC(積層セラミックコンデンサー)製造時の工程離型用ポリエステルフィルム「ルミラー(R)」の生産能力増強を決定したと発表した。岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造し、生産能力を現行比1.6倍にする。設備投資額は80億円であり、2025年からの稼働開始を予定している。
MLCCは、セラミックスの誘電体と金属電極を多層化したチップ型コンデンサで、通信機器、家電、自動車用など、電気で駆動するすべての機器に搭載されている。今後、通信分野での5G/6Gへの高度化や、電動化車両(xEV)の普及拡大に伴う搭載個数の増加により、年率10%以上の成長が見込まれる。
現在東レグループでは、MLCC離型用フィルムを三島・岐阜工場、マレーシア・Penfibre Sdn. Berhad、韓国・Toray Advanced Materials Korea Inc.の3カ国4拠点で生産し、世界ナンバーワンのシェアを占めている。今後のMLCC市場の拡大にいち早く対応するため、離型用フィルムの最大消費地である日本でのフィルム生産能力増強を決定した。
東レのMLCC離型用フィルム「ルミラー(R)」は、長年のフィルム開発で培った技術を駆使して製造した極めて平滑なフィルムであり、セラミック層を薄く、凹凸無く仕上げるために非常に効果があることから、多くのMLCCメーカーに採用頂き、MLCCの小型・高容量化に貢献してきた。
新ラインは、MLCC離型用フィルムの生産能力としては国内最大級であり、東レの既設ラインの品質高度化ノウハウを反映させ、将来の薄膜化、高平滑化などの市場要求を満たせる仕様とした。また、現在取り組みを進めている使用済みフィルムを回収・再利用する循環型リサイクルへの対応も想定している。東レは、汎用品から高付加価値品、環境負荷低減グレードまで幅広いラインナップを生産し、顧客の様々なニーズに対応していく。
今回の岐阜工場での生産能力増強によって、より強固な安定供給体制の確立を図り、3カ国4拠点の生産体制によるグローバルオペレーションを強化することで、通信や自動車用途で拡大するMLCCの需要拡大に対応していく。