・鉄道車両向けエンジン全製品コモンレール式燃料噴射システム採用を実現
コマツは9月30日、ディーゼル機関車や保守用車などの鉄道車両向けに、排気量23L(600馬力)のコモンレール式燃料噴射システム採用・新型縦型エンジン「SAA6D170E-5R」を発売したと発表した。鉄道車両向けディーゼルエンジンは環境対応型のコモンレール式燃料噴射システムが主流となっており、これにより、気動車向け横型ディーゼルエンジンも含め、コマツが展開している鉄道車両向けディーゼルエンジンの全製品が同システム採用エンジンとなった。今後、市場導入されている従来方式の排気量23Lのディーゼルエンジン搭載車両向けに、「SAA6D170E-5R」の導入推進を図り、環境負荷低減にも貢献していく。
コマツは、排気量10L以上の中大型ディーゼルエンジンを国内で自社開発・生産している数少ないエンジンメーカーであり、自社製品である建設機械向けエンジン以外に、鉄道車両や発電機、産業機械向けにもディーゼルエンジンを展開している。
発売する「SAA6D170E-5R」は、自社製品であるブルドーザー「D375A-6R」に搭載しているエンジンをベースエンジンとしており、品質および耐久性には定評を得ている。また、燃料噴射にコモンレール式燃料噴射システムを採用することで、従来のボッシュ式燃料噴射ポンプ(列型噴射ポンプ)方式と比較して、排気ガス成分の排出を、NOx(窒素酸化物)約50%、PM(粒子状物質)約70%の削減を実現した。
コモンレール式燃料噴射システムは、サプライポンプ(送油ポンプ)で高圧にした燃料をコモンレール(蓄圧室)に蓄え、コントローラーで電子制御することにより、エンジン回転速度に大きな影響を受けずに噴射圧力をほぼ一定にできることや、噴射量・噴射時期などを常に最適化することが可能なシステム。従来のボッシュ式燃料噴射ポンプ(列型噴射ポンプ)方式に比べ、約2~3倍の高圧で燃料を噴射することができ、エンジン回転数に依存せずに最適なタイミングで噴射量・噴射時期が調整可能なため、燃費性能に配慮しつつ排気エミッションの低減を実現した。
また、今回の「SAA6D170E-5R」は、新型機関車の装備向上に対応するため、CO2排出量削減につながるアイドルストップに対応したエンジンスターターの耐久性向上を図った。また、各機器類の電動化に対応するため、オルタネーターの容量を従来の75Aから140Aへ大容量化したことや、エアコン、油圧ポンプなどの補助機器の駆動用として、アクセサリー駆動用のプーリーを標準装備することで汎用性を高めた。
コマツは中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」 に掲げている、ダントツバリュー(収益向上とESG課題解決の好循環を生み出す顧客価値の創造)を通じて、未来の現場に向けた次のステージに踏み出し、サステナブルな未来を次の世代へつないでいくため、新たな価値創造を目指していく。
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