三菱重工、米国の水電解装置開発会社エレクトリック・ハイドロジェン社へ出資

・インダストリアルスケールで競争力のあるグリーン水素の製造を目指すスタートアップへの出資
・将来の革新的代替技術の一つとしての水素エネルギーの可能性を追求、水素バリューチェーンの強化・多様化へ

三菱重工業は6月23日、米国統括拠点である米国三菱重工業(MHIA: Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.)を通じ、インダストリアルスケールでの安価なグリーン水素の製造を目指す米国のエレクトリック・ハイドロジェン社(Electric Hydrogen Co.)に、ブレークスルーエナジーベンチャーズ(Breakthrough Energy Ventures)、エクイノール(Equinor)、アマゾン、 ハネウェル(Honeywell)、リオ・ティント(Rio Tinto)(注1)などとともに出資したと発表した。

 三菱重工グループは、革新的技術を有するさまざまなパートナーへの資本参加や協業も行いながら、脱炭素社会実現に貢献する水素バリューチェーン構築に取り組んでいる。エレクトリック・ハイドロジェン社は、水(H2O)をクリーンエネルギーで電気分解しCO2を排出せずに水素(H2)を製造する水電解装置分野において、LCOH(Levelized Cost of Hydrogen)(注2)を大幅に改善する可能性のある技術を開発している。今回調達した資金を活用し、エレクトリック・ハイドロジェン社はインダストリアル、インフラストラクチャー向け大容量の大型グリーン水素装置の製造およびパイロットプロジェクトを行い、商用化を加速させる計画。

 エレクトリック・ハイドロジェン社によると、鉄鋼、肥料、大陸間エネルギー輸送など電化が難しい産業が総GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の1/3以上を占めており、製造・利用過程でCO2を排出しない大容量のグリーン水素は、これらの産業を脱炭素化するための有望な手段として期待されている。

 三菱重工は今回の出資を通じて、三菱重工グループが戦略的に取り組むエナジートランジション事業における将来の革新的代替技術の一つとして水素エネルギーの可能性を追求し、水素バリューチェーンの強化・多様化につなげていく。

1.ブレークスルーエナジーベンチャーズはビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾスなどの世界のテック業界を率いるリーダーが気候変動に取り組むベンチャー企業に投資をするために設立したファンド、エクイノールはノルウェーの石油・ガス会社、アマゾンは世界最大の物流・テクノロジー会社、ハネウェルは米国の大手機器製造会社、リオ・ティントは大手鉱山・資源会社。

2.水素の均等化原価。製造装置費用、運転費用などを含めライフサイクルでの費用から求める水素の単価を指す。

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