前田製作所、2019年度売上は1.5%増の370億円

 ㈱前田製作所が5月21日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、前年同期比1.5%増の37,046百万円、営業利益は同9.7%増の1,853百万円、経常利益は同10.2%増の1,932百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同35.5%増の1,277百万円となった。

 2019年度におけるわが国経済は、高水準の企業収益を背景に設備投資が堅調に推移したことに加え、引き続き雇用や所得環境の改善が見られたものの、年明けからの新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、経済活動の停滞やサプライチェーンの分断など景気の大幅な下振れが避けられない状況となっている。

 前田製作所グループが関係する建設業界は、消費増税による駆け込み需要の反動減は見られたものの、都市部の大型再開発案件等を背景に需要は底堅く推移した。一方で労働需要のひっ迫に伴う人件費高騰や建築資材価格の上昇を背景に、建設コストは依然上昇基調だった。

 このような経営環境のもと、前田製作所グループは中期3ヵ年経営計画で目指す『成長の実現』に向け、初年度となる2019年度は『変化にすばやく対応する年』をスローガンに掲げ、Ⅰ.イノベーションの推進による成長と利益の確保、Ⅱ.人財育成と技術の向上、Ⅲ.安全・健康・コンプライアンス、を重点戦略の柱として、「変化への対応」「スピードある対応」を実践してきた。

 前田製作所2019年度データ

■セグメント別売上高の概要

<建設機械関連事業>

 売上高は、前年同期比0.8%増の22,891百万円となった。建設機械関連商品は同2.1%増の12,690百万円、建設機械関連レンタルは、同0.4%減の4,025百万円、建設機械関連サービスは同1.0%減の6,175百万円となった。

<産業・鉄構機械等関連事業>

 売上高は同2.6%増の11,939百万円。産業機械関連製品は同6.1%増の6,652百万円、産業機械関連商品は同13.5%減の1,422百万円となった。鉄構機械関連製品は同6.9%減の2,420百万円、産業機械関連その他は同28.8%増の1,443百万円となった。

<介護用品関連事業>

 売上高は同5.2%増の1,377百万円となった。

<その他>

 売上高は同1.8%減少の837百万円となった。

■今後の見通し

 2021年3月期におけるわが国経済は、老朽化した既存設備の更新投資や人手不足を背景とした合理化・省力化投資需要は引き続き見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、投資を先送りする動きが出てくるものと懸念されている。また、世界規模での経済活動が抑制され、世界経済は更に減速・悪化することが予測され予断を許さない状況にある。

 前田製作所グループが関係する建設業界においても、防災・減災対策や高度成長期に大量に整備されたインフラ設備の老朽化対策を中心に2019年度を上回る予算が投入され、建設市場は堅調に推移すると予測されたが、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せないなか、先行きは憂慮される状況が続くものと予想される。

 このような経営環境のもと、前田製作所グループは中期3ヵ年経営計画に基づき、2021年3月期は「変化をチャンスに変える年」をスローガンに掲げ、外部環境の急速な変化を追い風に変え「技術のマエダ」「人にやさしい経営」の実現に取り組み、更なる経営基盤の強化に努めていく。

 しかし、新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、いまだ終息の目途が立たない状況にあり、前田製作所グループにおいても営業活動が制限されている。また、受注環境も悪化していることに伴い自社商品の生産への影響も懸念されるなど、現段階では業績に与える不確定要素が大きく、業績予想を合理的に算出することが困難と判断。2021年3月期の連結業績予想については未定とし、今後、開示が可能となった時点で速やかに公表する。

 前田製作所の2020年3月期決算短信

 決算説明資料