川崎重工業は2月19日、中国CONCHグループ(※1)との合弁会社である安徽海螺川崎節能設備製造有限公司(以下、CKM)が、中国において同グループの建徳海螺セメント向けに、電力消費の節減と環境へ配慮したセメント粉砕用CKミル2基を引き渡したと発表した。
CKミルは、セメント工場において使用される粉砕機で、主原料(石灰石)と副原料(粘土やけい石、鉄原料など)を一緒に乾燥・粉砕する原料粉砕や、原料を焼成してできるクリンカと副原料(石膏や石灰石など)を粉砕し、セメントを生産する仕上粉砕の工程で主に使用される。
今回引き渡したCKミルは、仕上粉砕工程でセメント最終製品を竪型ミルのみで粉砕するもので、川崎重工最大の生産量となる220t/hの大型機となる。川崎重工が設計および運転技術指導の協力を行い、CKMが製造・納入を担当することで高品質・高性能を実現し、同CKミルで製造されるセメント最終製品の品質・強度試験でも、従来のチューブミルと同等以上の品質・強度が維持できることを確認している。
さらに川崎重工は、環境にやさしいセメント製造機へのニーズに対応するため、粉砕部のローラ形状や製品分級部の改善、加圧機構を支えるスタンド部の材質を鋼板からコンクリートに見直すなどの改良を重ねることで、振動を大幅に低減したほか、従来の粉砕機(チューブミル)に比べて電力消費量を約30%削減する大幅な省エネルギー化を実現した。これらの特長から、川崎重工グループ製品の中でも特に高い環境性能を誇る「Kawasakiグリーン製品」(※2)に登録されている。
川崎重工は、1985年にCKミルの初号機を納入して以来、日本のほか東アジア・東南アジア地域を中心に国内外で拡販を展開し、累計129基の受注実績を有しているが、生産量200t/hクラスのCKミルは、チューブミルからの置き換えなどの更新需要が期待される。川崎重工は今回の大型機引き渡しを契機とし、今後ともセメント製造設備に関する優れた技術力と豊富な実績、高い信頼性を活かして、積極的な製品の開発・販売を展開していく。
※1 CONCHグループ:中国最大手で世界有数のセメントメーカーである海螺セメントを傘下に持ち、セメントや建材などの事業を展開している企業集団。
※2 Kawasakiグリーン製品:川崎重工が独自に定めた環境基準を満たした製品に与えられる認定。環境への配慮が業界標準クラスを超えるか、川崎重工前機種製品を超える製品が該当する。
<今回引き渡したCKミルの仕様>
・ミル型式:CK490
・テーブル軌道径:4,900mm
・設備モータ:5,100kW
・粉砕能力:220t/h
・ローラ数:4個
・用途:仕上粉砕(クリンカ・石膏・石灰石・フライアッシュ)
<安徽海螺川崎節能設備製造有限公司の概要>
英文名:ANHUI CONCH KAWASAKI ENERGY CONSERVATION EQUIPMENT MANUFACTURING CO.,LTD.,)
本店所在地:中華人民共和国 安徽省蕪湖市
設立年月日:2007年10月26日
資本比率:川崎重工49%、海螺創業51%
事業内容:セメント排熱発電設備用ボイラ、ローラミル、環境設備の製造・販売
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