NTNは7月11日、薄型、軽量、高精度な角度検出センサシステムを構成できる「ラジアルタイプ」の「複列磁気リング」に、新たに開発した「アキシアルタイプ」を追加し、7月より量産を開始すると発表した。
近年、目覚ましい発展を見せているロボット装置は、より緻密で高精度な位置制御が要求されている。さらに、ロボットに使用される各部品はますます小型・軽量化などが進み、特にロボット関節部の部品は、内径側に配線ケーブル等を通すことができるよう薄肉で中空形状が求められているが、中空径が小さい角度センサ(φ25mm以下)が一般的。また、多関節ロボットで多く使われている高分解能かつ高精度な光学式センサは、塵埃や油などの使用環境では機能しないという課題があった。
NTNは、これらの課題に対応するため、回転センサ付軸受やABSセンサ付ハブベアリングなどの商品で培ってきた磁気リングおよび着磁技術を応用し、光学式と同程度の高分解能・高精度な磁気式センサを実現可能にする「複列磁気リング」を開発した。
「複列磁気リング」は、主にロボット関節部の角度を検出するために開発した輪形状の部品で、専用の磁気センサICと組み合わせることにより、角度検出として十分な17~20bit(分解能 約0.0027°~0.00034°)の絶対角の角度情報を出力することが可能。また、磁気式であるため、光学式に比べて振動、高温、塵埃、油ミストなどに対する環境耐性に優れているだけでなく、今回開発したアキシアルタイプの「複列磁気リング」は軸方向幅寸法が4mmと薄型で、装置の小型化に貢献する。内径部にケーブルなどを通すことができる大きさ(内径φ41mm)の中空形状であるため、ロボット関節部への適用も容易になっている。
NTNは、今年4月からスタートした中期経営計画「DRIVE NTN100」で新たな事業領域のひとつとしてロボット関連事業を強化している。今回、ロボットメーカー向けに同商品の量産を開始するとともに、引き続き市場ニーズを確認しながらサイズバリエーションを増やすなど、事業展開を進めていく。
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