プライメタルズテクノロジーズ、中国鉄鋼メーカーから新型電気炉「EAF Quantum」を受注

 プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies, Limited、以下PT社)は7月12日、中国の鉄鋼メーカー広西桂鑫金属有限公司(Guangxi Guixin Iron&Steel Group Co., Ltd)から、広西チワン族自治区賀州市の製鉄所向けに新型電気炉 EAF Quantumを受注したと発表した。この電気炉の出鋼量は80トンで、既存の小型電気炉に代わるもので、新しい分割出鋼プロセスが初めて導入される。最大出力時の出鋼間隔はわずか26分で、使用電力量も大幅に低減されて操業コストとCO2が削減される。スクラップヤードの管理を含む高度な自動化処理を備えたこの新型電気炉はインダストリー4.0(Industry4.0)に対応しており、2019年中頃に稼働する予定。

 広西桂鑫の設立は1993年で、鉄鋼、不動産、港湾、金融、貿易の各分野のグループ企業から構成される民間企業グループ。同社の製鋼能力は2017年実績で約800万トン。主に鉄筋、ワイヤーロッド、線材コイルを生産しており、賀州市の生産拠点は電気炉EAFをベースに棒鋼製品を生産している。

 PT社は、自動スクラップヤード管理機能、自動装入プロセス、自動酸素ランス吹き込み装置、砂充填処理を含む新型電気炉EAF Quantumの機械・電気処理装置全般に加えて、インダストリー4.0(Industry4.0)に対応するレベル2オートメーションを納入する。特別な機能としては新たに導入された分割出鋼プロセスがあり、炉内に残る前チャージ分の大量のホットヒール(*1)とPT社の出鋼ソリューション「FAST」によって、コンパクトで迅速な溶鋼の連続出鋼が可能になり、出鋼間隔を大幅に短縮することができる。

 PT社が開発した新型電気炉 EAF Quantumは、実績のあるシャフト炉と革新的なスクラップ装入プロセス、高効率予熱システム、新しい傾動方式を持つ下部容器、最適化された溶解システムを装備し、出鋼間隔の大幅な短縮を実現する。従来の電気炉に比べ電力消費量が大幅に低減され、電極と酸素の消費量低減もあいまって、全体で約20%の処理コストの低減ができる。全体のCO2排出量も、従来の電気炉に比べて粗鋼1トン当たり最大30%削減できる。

 *1ホットヒール:炉に残った溶鋼のこと。電気炉で溶解を行った後に、炉の中にある溶鋼の全量を出湯せず残しておいたもの。次に投入されるスクラップの溶解などに用いられる。

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