NTNは8月24日、軸受内部のころを左右列で非対称設計とすることで、軸受の計算寿命を従来品比約2.5倍とし、PV値*1を約30%低減して耐摩耗特性も向上させた風力発電装置主軸用「左右列非対称自動調心ころ軸受」を開発したと発表した。NTNは、10月17日~19日に中国・北京で開催される「China Wind Power 2017」に出展、各風力発電装置メーカや風力発電事業者に提案していく。
風力発電装置の主軸用軸受(以下、主軸受)には、高負荷容量で取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く使用されている。主軸受は、ロータやブレード(翼)などの重量が軸に対して垂直方向に作用するラジアル荷重に加えて、風荷重が軸に対して水平一方向に作用するアキシアル荷重を受けるため、フロント列(ブレードに近い側)に比べてリア列(遠い側)により大きな荷重が作用する。また、自動調心ころ軸受特有の転がりすべりと、潤滑不足による軌道面ところの金属接触により、PV値の高い箇所から軌道面の摩耗が進行し、特にリア列の外輪にはく離や割れが発生することがある。
今回開発した「左右列非対称自動調心ころ軸受」は、こうした風力発電装置主軸受特有の使用条件に対応するため、ころの設計を見直すことで、寿命と耐摩耗特性を向上させた。開発品の接触角は従来品と比べフロント列は小さく、リア列は大きくし、ころの長さはフロント列よりリア列を長くすることで、風によるアキシアル荷重をリア列で効率よく受け、ラジアル荷重をフロント列で積極的に受けることができる設計とした。フロント列、リア列のころで荷重を適切に分担することで、風力発電装置主軸受特有の使用条件において、長寿命化と耐摩耗特性の向上を実現している。
開発品は、主要寸法*2を従来品と同寸法で設計可能。さらに、従来品と同等の寿命を持つ主軸受を設計する場合は、従来品に対し内径を約10%、質量を約30%減らすことができ、風力発電装置のコンパクト化・軽量化に貢献する。
*1) 接触面圧[P]と、転がりすべり速度[V]をかけあわせた数値。(転がりすべりとは、ころと軌道輪の接触部に生じる回転方向の速度差に起因するすべりのこと)
*2) 内輪内径、外輪外径、幅寸法のこと。
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