荏原製作所は8月1日、米国ネバダ州ラスベガスに生活用水を送るポンプ場に、世界最大級の出力3350HP(2500kW)を誇る水中モータポンプを出荷したと発表した。出荷したポンプは水中モータ駆動の立軸両吸込単段ポンプ。5.2mのつり下げ管(※)を24本つなぎ合わせる構造によって、ポンプ全長約130mを実現しており、荏原の大型水中モータポンプとしては最長の製品。
ポンプの特長は、羽根車に両吸込単段構造を採用することで、高い吸込性能を実現するとともに、ハイドロスラスト力をバランスしスラスト軸受に作用する負荷を低減した点。
ネバダ州最大の都市ラスベガスは「砂漠の中の都市」とも言われ、生活用水は48km離れたフーバーダムのダム湖(ミード湖)から送られている。近年、フーバーダムの水位低下が著しく、このダムからの取水には揚程100m以上の揚水ポンプが必要。
この規模の水中モータポンプでは、複数の羽根車からなる多段構造が一般的だが、同製品では荏原の高いハイドロ技術を結集することにより、広い運転範囲に対応した単段構造の羽根車で要求性能を達成すことに成功。単段のシンプルな構造は部品点数も少なくてすみ、後々のメンテナンスも容易となるため、顧客のライフサイクルコスト低減が可能となる。
荏原は、ネバダ州水道局(Southern Nevada Water Authority)に多くの大型送水ポンプを納入している。ラスベガスに生活用水を送る湖水取水用途のポンプでは、2007年に6台の立軸斜流多段の陸上ポンプを納め、高い評価を得ているという。
<ポンプの概要>
・型式:900BHSYD 立軸両吸込単段ポンプ(水中モータ駆動)
・口径:900mm
・流量(換算値):20835gpm(78.86m3/min)
・全揚程(換算値):435ft(132.6m)
・モータ出力(換算値):3350HP(2500kW)
・納品先:アメリカ合衆国ネバダ州
・出荷完了:2017年5月
※つり下げ管とは、ボリュートケーシングから吐き出された水を地上部まで導水する揚水管のことで、水中モータ及び羽根車やボリュートケーシング等のポンプ部品を保持する役割も担っている。
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