■日本企業による変電設備輸出を支援
国際協力銀行(JBIC)は3月30日、3月27日付けでイラク政府との間で、融資金額約103億円及び約193百万米ドル(いずれもJBIC分)を限度とする貸付契約を締結したと発表した。融資は、三菱東京UFJ銀行(幹事銀行)及び三井住友銀行との協調融資によるもので、これら2行の融資部分に対しては、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が付保される。協調融資総額は約173億円及び約322百万米ドル。この融資はJBICが2016年10月1日より開始した「特別業務」として実施する第1号案件。
本件は、イラク電力省が、イラク国内16ヶ所で実施する変電所建設案件にあたり、豊田通商より変電設備一式を購入するために必要な資金を融資するもの。変電設備は、豊田通商が設計・調達・建設を一括して請け負い、東芝が400/132kV固定式変電設備(4ヶ所)、明電舎が132/33kV移動式変電設備(12ヶ所)をそれぞれ製造する。
イラクの電力セクターは、現状16GW~18GW程度の需要に対し約12GWの供給能力に留まる状況にあるところ、イラク政府は電力供給能力向上のために発電・送変電設備の整備・拡充を図っている。かかる中、本件は、質の高いインフラ導入による電力供給能力の向上・安定化を通じたイラクの自立的な復興に寄与するとともに、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。また、本件は日本政府とイラク政府の合意の下で取り組みが進められてきた案件であり、本件の実現が両国関係の一層の強化に繋がるものと期待される。
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業によるインフラ関連設備輸出や海外事業展開を金融面から支援していく。