・特別利益71億円計上、通期予想も大幅上方修正
加藤製作所が2月13日に発表した2026年3月期第3四半期(25年4〜12月)連結決算は、中国子会社の譲渡に伴う特別利益の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益が56億3,100万円となり、前年同期の48億3,100万円の赤字から大幅な黒字転換を果たした。売上高は373億100万円で前年同期比1.3%増とほぼ横ばいだったが、営業損益は18億6,600万円の赤字、経常損益は13億8,800万円の赤字と、本業の苦戦が続いている。
今回の業績改善の主因は、中国子会社である加藤(中国)工程机械有限公司の全持分譲渡に伴う会計処理によるもの。当初15億円と見込んでいた子会社株式売却益が最終的な譲渡価額の確定により18億円に増加したことに加え、連結除外に伴い為替換算調整勘定53億円を取り崩して売却益に計上した結果、特別利益の総額は71億円に達した。
同社は建設機械メーカーとして建設用クレーンや油圧ショベルなどを主力製品としているが、第3四半期累計期間の事業環境は厳しさを増している。国内では建設資材や人件費の高騰、民間投資の停滞により建設機械需要が弱含みで推移した。世界経済においてもウクライナ情勢などの地政学リスクの長期化、中国経済の低迷、米国の通商政策変更などにより不透明な状況が続いた。
■ セグメント別業績
セグメント別に見ると、日本セグメントの売上高は341億8,800万円で前年同期比6.0%増となった。主要部品の供給制約が解消され、高価格帯の大型建設用クレーンの生産が本格化したことが寄与した。建設用クレーンの国内売上高は224億3,700万円で同14.0%増と好調だった一方、海外売上高は24億4,500万円で同18.1%減と低迷した。油圧ショベル等は国内が54億3,900万円で同1.5%増となったが、米国市場の需要低迷を受けて海外は29億5,700万円で同15.0%減となった。しかし、在庫調整に伴う工場稼働率の低下が想定以上に利益を圧迫し、セグメント損益は18億200万円の赤字となり、前年同期の6億3,000万円の黒字から悪化した。
欧州セグメントは建設機械需要の低迷が継続し、売上高は28億7,100万円で前年同期比16.2%減、セグメント損益は1億6,300万円の赤字となった。その他セグメントは中国セグメントの組み入れにより売上高が10億8,100万円で同50.0%減、セグメント利益は2,500万円で黒字転換した。
■ 製品別業績
製品別では建設用クレーンの売上高が249億6,600万円で前年同期比10.0%増、油圧ショベル等が114億2,700万円で同14.6%減、その他製品が9億800万円で同21.4%増となった。
■ 通期の連結業績予想
通期の連結業績予想については、今回大幅な上方修正を実施した。売上高は570億円で据え置き、営業損益は5億円の赤字、経常損益は10億円の赤字と従来予想から変更はないが、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円から58億円へと56億円の大幅増額修正となった。1株当たり当期純利益も17円42銭から508円60銭へと引き上げられた。
ただし同社は、為替換算調整勘定の取り崩しは包括利益の組替調整によるもので純資産全体への影響は軽微であり、新たなキャッシュフローを伴うものではないことから、今回の業績予想修正に伴う配当予想の修正は行わないとしている。年間配当は中間35円、期末35円の計70円を維持する方針だ。
同社は2026年3月期を初年度とする新たな3ヵ年中期経営計画において「飛躍、そして次の時代へ」をテーマに掲げ、企業価値向上や成長戦略の推進を図っている。第3四半期には将来の収益基盤強化を目的にイタリア子会社への増資を実施したほか、成長市場と位置付けるインドでは現地企業との合弁会社設立に向けた準備を進めるなど、海外ポートフォリオの健全化に取り組んでいる。
今後は国内での生産効率改善施策を進めるとともに、海外事業の立て直しを図り、収益性の向上を目指す方針。
コメントを投稿するにはログインしてください。