クボタ、中期経営計画2030を発表、営業利益率12%目標に「Focus & Breakthrough」で事業構造改革へ

クボタは2月13日、中期経営計画2030「Focus & Breakthrough」を発表した。物量拡大型モデルからの脱却を掲げ、「選択と集中」「財務規律の徹底」「強靭なグローバル基盤」の3本柱で経営の質を高め、2030年に営業利益率12%、ROE12%、ROIC7%以上の達成を目指す。2025年3月期の営業利益率8.8%、ROE7.3%からのV字回復を図る。

最重要指標にはフリーキャッシュフロー(FCF)を据え、2026~2030年の5年間累計で9,000億円の創出を計画。総資産回転率は0.49回から0.64回へ引き上げる。売上規模の拡大よりも資本効率とキャッシュ創出力を重視する姿勢を鮮明にした。

事業ポートフォリオは「成長けん引」「価値再構築」「構造改革」に再編。機械事業では建設機械、インド「発」事業、ライフサイクルサポートを成長ドライバーに位置付ける。

■建機事業、北米軸に市場成長超を狙う

建設機械事業は年率8%超の成長を目標とし、市場平均(約4%)を大きく上回る拡大を計画する。最大市場の北米では、住宅需要の底堅さに加え、老朽インフラ更新、データセンター建設、電力網整備など構造的投資が続く見通しだ。欧州でも道路・橋梁更新需要が進み、東南アジアやインドでは都市化を背景にインフラ投資が拡大する。

製品面では2026年度中に新型CTL(コンパクトトラックローダ)を投入し、ミニショベル中心のポートフォリオを拡張。小規模建設や造園分野を取り込み、未参入領域を開拓する。アタッチメント拡充と内製化推進により付加価値向上も図る。

技術面ではICT建機の開発を加速し、自動・自律化やデータ連携による施工効率向上、省人化を支援。テレマティクスを活用した稼働管理や予防保全を通じ、販売後のライフサイクル収益を拡大する。レンタル市場の深耕も進め、景気変動耐性を高める。

グローバル最適地生産とエリアSCM体制を強化し、在庫最適化と供給安定を両立。インド拠点の活用はコスト競争力向上にもつなげる。

■農機事業は地域別に再構築

農業機械では地域ごとに収益構造の立て直しを図る。北米トラクタ事業は収益重視へ政策転換。ゼロ金利長期ローンなどインセンティブ依存型販売を見直し、在庫月数を2030年までに30%削減。不採算モデルの整理とコスト競争力再構築で最大市場の立て直しを進める。

欧州農機は大型畑作向けの量追求を改め、ナロートラクタなど強み分野へ集中。生産・物流体制を抜本的に見直し、固定費削減と収益改善を図る。

国内農機は市場縮小を前提に、整備事業を最大の成長領域と位置付ける。スーパー担い手層への資源集中、スマート農機とKSASを活用したソリューション強化により、製品販売中心からアフターマーケット・データ活用型へ転換する。

インド事業は世界最大級のトラクタ市場を取り込みつつ、開発・調達・生産のグローバルハブとして機能強化。3ブランド体制で市場深耕を進め、コスト競争力と供給安定性を高める。

■財務規律と組織改革で質的転換

財務面では設備投資を年1,800億円規模、研究開発費を年1,000億円規模としつつ、事業維持投資は減価償却費内に抑制。成長投資は北米建機やインド新工場など重点分野へ絞り込み、高いハードルレートで選別する。

小売金融債権の抑制、在庫圧縮、運転資本管理強化により営業キャッシュフローを最大化。累進配当を継続しつつ、自己株取得も機動的に実施する。

組織面ではCxO体制を本格導入し、機械事業を社長直轄とする。農業機械事業部を新設し、オペレーション機能と顧客対応機能を分離。グローバル人財の活用やDX推進を通じ、意思決定の迅速化と挑戦する風土づくりを進める。

規模追求から価値創造へ。建機を先導役に、農機の構造改革と財務規律を組み合わせた質的転換が、2030年目標達成の鍵を握る。

詳細は、 中期経営計画2030