カヤバ(KYB)は2月13日、自己株式の公開買付け(TOB)を開始したと発表した。買付対象は普通株式324万株(買付予定数、所有割合7.51%)、1株当たり4,139円。総額約134億円を自己資金で充当する。買付期間は2月13日から3月16日まで(21営業日)、決済開始日は4月8日。
このTOBの主眼は、同社の第2位株主(2025年9月末時点)で主要顧客であるトヨタ自動車が保有する全株式2,938,834株(所有割合6.81%)の取得にある。トヨタは政策保有株式縮減の観点から売却意向を示しており、KYBはこれに対応。市場への一括放出による株価・流動性への影響を最小限に抑えるため、公開買付けを選択した。
■価格は市場平均から10%ディスカウント
買付価格4,139円は、TOB決議前営業日(2月10日)までの過去1ヶ月間終値単純平均4,599円に対し、ちょうど10.00%のディスカウント。過去の自己株TOB事例150件を参考に、ディスカウント率10%が最多だった点を勘案した。株主間の平等性と透明性を重視した手法で、トヨタ以外の株主にも応募機会を提供する。
カヤバは「株主への適切な利益還元を経営最重要課題の一つ」と位置づけ、連結配当性向30%以上を目指している。2026年3月期は中間・期末合わせて1株150円の配当を計画。本TOBにより1株当たり純利益(EPS)や自己資本利益率(ROE)の向上を図り、資本効率を高める狙いだ。
■財務基盤は盤石、手元流動性に余裕
2025年12月末時点の連結手元流動性(現金・預金)は5,045億円(手元流動性比率1.28ヶ月)。TOB実施後も約3,704億円(0.94ヶ月)と十分な水準を維持できる見込みだ。事業キャッシュフローも今後積み上がるため、事業運営や財務の健全性に影響はないとしている。
同社は2024年12月に1:2の株式分割を実施済み。投資単位引き下げによる流動性向上と投資家層拡大を進めている。直近では2024年11月~2025年11月に市場買付けで約619万株を取得しており、機動的な資本政策を継続中だ。
■自動車部品業界の資本政策トレンドに沿う動き
カヤバは自動車用ショックアブソーバー・サスペンション部品のトップメーカー。トヨタを筆頭に国内外完成車メーカーとの強固な取引関係を有する。政策保有株式の縮減が進む中、TOBによる自社株取得は株主価値向上と同時に、主要顧客との資本関係の見直しを円滑に進める好例と言えよう。
買付予定数超過時はあん分比例方式を適用。トヨタの応募分の一部が取得されない可能性もあるが、同社は残株を市場売却する方針を示している。TOB結果は3月17日に公表予定。