・超電導技術で商用化実証の心臓部担う
酉島製作所は1月26日、川崎重工業から世界最大級の液化水素基地「川崎LH2ターミナル」向けに大流量液化水素ポンプを受注したと発表した。同社が開発した超電導モータ搭載型液化水素ポンプが採用されるもので、液化水素サプライチェーンの商用化実証における重要な技術的ブレークスルーとして注目される。
■商用規模実証の要となる設備
川崎LH2ターミナルは、日本水素エネルギー(JSE)が事業主体、川崎重工を代表とする共同企業体が主要コントラクターとなり建設を進めている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「液化水素サプライチェーンの商用化実証」に採択された中核施設で、貯蔵容量5万立方メートルの世界最大級液化水素貯蔵タンクをはじめ、海上荷役設備、水素液化設備、送ガス設備、ローリー出荷設備などを備える。
今回受注したのは「昇圧ポンプ」5台と「積荷ポンプ」1台。昇圧ポンプは貯蔵タンクから各利用先へ液化水素を送り出す役割を担い、最大流量51.8立方メートル/時、全揚程2,400メートル、回転速度5,300min⁻¹という高性能を実現する。一方、積荷ポンプは液化水素運搬船への大量移送を担う大規模荷役の要で、流量700立方メートル/時、全揚程510メートルのスペックを誇る。
■蒸発ロス低減の鍵を握る超電導技術
液化水素の商用サプライチェーン構築における最大の技術的課題は、移送時の蒸発ロスだった。従来のモータ技術でポンプを大流量化すると、モータ自体の発熱が液化水素に伝わり気化を招くため、「液体のまま大量に運ぶ」という液化水素本来の効率性が損なわれていた。
酉島製作所は、2023年度に採択されたNEDOの「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」のもと、長年培ってきたポンプ技術と京都大学が研究開発してきた高温超電導技術を融合。マイナス253度という極低温環境下で電気抵抗がゼロとなる超電導モータを搭載することで、発熱を極限まで抑え、液化水素への熱侵入を最小限に抑制することに成功した。2024年にはJAXAで運転試験を実施し、産業用途として世界初となる超電導モータ搭載型液化水素ポンプの実用化に道を開いた。
■脱炭素社会実現へ貢献
世界の水素産業界において、商用規模での大流量遠心ポンプの実用化は長年の課題だった。今回のプロジェクトは、「安価で大量の水素輸送」という商用サプライチェーン構築の実現に向けた画期的な一歩となる。
酉島製作所は今後も、より大流量・高圧かつ高効率な液化水素ポンプの技術開発を推進し、大規模水素サプライチェーンの構築を通じて脱炭素社会の実現に貢献していく方針。
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