豊田自動織機とDaigasグループ、アンモニア専焼による金属熱処理に国内初成功

・量産規模で実製品レベルの品質達成

豊田自動織機と大阪ガスの100%子会社Daigasエナジーは1月21日、自動車・産業用エンジン部品の金属熱処理工程において、アンモニア燃料のみを使用した実証評価試験に国内で初めて成功したと発表した。量産規模の実証試験炉で実製品と同水準の品質を確認しており、製造現場における脱炭素化への道筋を示す成果として注目される。

実証は豊田自動織機東知多工場(愛知県半田市)の鋳造ラインで実施された。Daigasエナジーが新開発したアンモニアバーナを搭載した量産規模の実証試験炉において、自動車用エンジン部品の熱処理を行い、従来の都市ガス専焼と同等の温度条件を達成。アンモニアに含まれる窒素成分による金属の窒化影響もなく、量産品と同水準の製品品質が得られることを確認した。

■技術課題を独自バーナで克服

アンモニアは燃焼速度が遅く安定燃焼が難しいことに加え、燃焼時に窒素酸化物(NOx)が多く発生するという技術課題がある。Daigasエナジーは都市ガス用バーナ開発で培った知見と、大阪ガス先端技術研究所のアンモニア燃焼基礎研究を活用し、これらの課題を解決した。

新開発バーナは循環流形成を促進させ、アンモニアと燃焼用空気の混合を活性化させる構造により、火炎の吹き消えを防ぎ安定燃焼を実現。さらにバーナ先端に向けて多段階に燃焼用空気を供給する構造でNOx排出を抑制した。都市ガス専焼とアンモニア専焼の双方に対応し、NOxや未燃アンモニアの発生量について実証試験炉の基準値・仕様を満たす設計となっている。

■衣浦港のアンモニア受入整備が後押し

今回の実証の背景には、豊田自動織機の2050年カーボンニュートラル達成目標がある。東知多工場では多数の熱処理炉やアルミ溶解炉が稼働しており、CO2排出削減が重要課題となっていた。一方、工場が立地する愛知県衣浦港周辺では、脱炭素燃料であるアンモニアの受入環境整備が検討されており、この動きが本実証を後押しした。

両社は2021年からアンモニア燃料小型エンジンシステムの技術開発・実証でパートナーシップを深めてきた経緯がある。今回は新たな取り組みとして製造工程でのアンモニア燃料利用実現に向けて共同実証に踏み切った。

■他工程への展開を検討

実証試験炉は豊田自動織機が製作したもので、量産設備を模した構造を持つ。アルミニウム合金の強度・硬度向上やひずみ除去などの熱処理をアンモニア専焼で評価できる仕様となっている。

両社は今後、本実証で得られた成果を踏まえ、金属熱処理工程へのアンモニア燃料導入に向けた課題解決や、他の製造設備への利用拡大について検討を進める方針。豊田自動織機は再生可能エネルギー、アンモニア、水素などクリーンエネルギーへの燃料転換を通じて製造プロセスの脱炭素化を推進する構えだ。

Daigasグループは今年2月発表の「Daigasグループ エネルギートランジション2050」のもと、脱炭素社会に貢献する技術・サービス開発を進めており、今回の成果はその具体的な成果の一つとなる。

製造現場におけるアンモニア燃料の本格活用は、カーボンニュートラル実現に向けた選択肢として産業界から期待が高まっている。量産規模での実証成功は、他の製造業へのアンモニア利用拡大にも弾みをつける可能性がある。


※金属熱処理工程においてアンモニア専焼で量産品と同水準の品質を確認したことが国内初(豊田自動織機・Daigasエナジー調べ、2026年1月現在)

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