●年頭所感(2026年) コマツ 代表取締役社長(兼)CEO 今吉琢也

2025 年の振り返り

昨年の世界経済は、米国の関税政策や中東地域などでの地政学リスクが懸念される一方、AI 需要の拡大や欧米の利下げによる景気の下支えなどが混在する一年となりました。建設・鉱山機械の需要はここ数年は減少傾向にあり、25 年度も前年度比でわずかに減少すると見込んでいます。

こうした環境下で、当社は 2025 年 4 月に中期経営計画「Driving value with ambition 価値創造への挑戦」(2025 年度-2027 年度)を開始しました。モノ価値とコト価値の両面で顧客価値を最大化し、「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」となることを目指します。成長戦略の柱は ①イノベーションによる価値共創、②成長性と収益性の追求、③経営基盤の革新 であり、それぞれの重点活動に取り組んでいます。2025 年度の活動状況は以下の通りです。

イノベーションによる価値共創
(1) 自動化・遠隔操作化・無人化技術を活用した製品とソリューションを強化しています。
・ マイニングでは、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が 940 台(2025 年 9 月末時点)に達し、1,000 台(27 年度)の目標達成に向けてさらに活動を強化していきます。

また、米 AppliedIntuition 社と、次世代鉱山機械向け SDV や自動化車両プラットフォームの開発で協業を開始しました。
・ 一般建機では、スマートコンストラクション®の一部のアプリを標準搭載した当社初の SDV 型油圧ショベル(PC220LCi-12)を欧米市場に導入しました。ICT 建機の販売比率は 27%(2025 年度上半期、日米欧豪)に達し、さらに拡大していきます。また、日本では、ティアフォー社やグループ会社の EARTHBRAIN とダンプトラック作業の自動化で協業を開始しました。
(2) カーボンニュートラル対応では、さまざまな動力源に対応する商品開発を進めています。
・ パワーアグノスティック対応のディーゼルトロリー式ダンプトラックが世界で初めてスウェーデンの銅鉱山で稼働を開始しました。また、水素燃料電池を搭載した油圧ショベルや水素エンジンを搭載した大型ダンプトラックの実証実験も継続中です。
・ 関西万博で展示した遠隔操作・バッテリー駆動の水中施工ロボットのコンセプトマシンは多くの反響をいただき、実用化に向けた開発を加速していきます。

成長性と収益性の追求
地域ごとに顧客動向や競争環境を見極め、代理店強化と商品開発に取り組んでいます。
・ 中近東では、パキスタンのレコディク銅・金鉱山開発に伴う大口受注(総額 4.4 億ドル規模)を獲得し、現地法人を設立してサポート体制の構築を進めています。
・ アフリカでは、コートジボワールに建設機械のメカニック・オペレーター向けトレーニング施設を新設する計画を決定し、2026 年度の稼働を目指します。将来的には機能を強化し、西アフリカ地域の中核拠点とする予定です。
・ 東南アジアでは、バンコク・モーター・ワークス(BMW)と、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、ブルネイでの販売代理店を昨年 11 月より共同経営を開始しました。一貫したマーケティング活動により、収益拡大を目指します。
・ 新興国では、軽負荷作業向け「CE モデル」と高負荷対応の標準モデルの 2 ライン戦略を展開し、2021 年のインドネシア導入から地域を広げ、現在 28 か国で展開しています。今後も顧客ニーズに応じ導入を進めます。


経営基盤の革新
(1) DX 推進と生成 AI を活用し、業務改革を推進しています。グローバルプロジェクトで多数のユースケースを進行しており、生産性向上を図っていきます。
・ 大阪工場は DX パイロット工場として、生産性 1.5 倍、管理業務 30%削減、生産ラインのデジタルツインによる課題の早期発見と改善に取り組んでおり、得られた知見はグローバルに展開していきます。
(2) コマツのブランド認知度を拡大し、世界のステークホルダーに共通のブランド体験を届け、関係性を強化する活動に引き続き注力していきます。
・ アトラシアン・ウィリアムズ・レーシングとのパートナーシップを活かし、顧客や社員との交流や、技術系学生の成長を支援する機会を提供しています。
・ カンボジアでの地雷除去活動を紹介した動画は、世界中で延べ 1 億 2,000 万人以上に視聴され、ロンドンの国際的な賞を受賞しました。

2026 年に向けて
不確実性の高い状況が続くと見込まれますが、各事業・地域におけるリスクと機会を的確に捉えていきます。成長戦略における重点活動を着実に実行し、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる企業体質の強化に引き続き努めていきます。また、米国関税への対応も変革のチャンスと捉え、グローバルネットワークを活かしてコスト競争力や生産性を一段と強化していきます。

そして、お客さまに選ばれる商品・サービス・ソリューションの提供にベストを尽くすため、「品質と信頼性」を追求し、ものづくりと技術の革新による価値創造への挑戦を通じて企業価値の最大化を目指します。

最後に、本年が皆様にとって幸多き一年となりますことを祈念し、私の年頭所感とさせていただきます。

コマツHP