プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は、12月2日(ロンドン)、アルセロールミッタル(ArcelorMittal)のドイツ・アイゼンヒュッテンシュタット(Eisenhüttenstadt)製鉄所において、リバースコールドミル(reverse cold mill)の大規模近代化プロジェクトを完了し、仮検収証(PAC)を取得したと発表した。本プロジェクトは電磁鋼板の製品品質向上と環境負荷低減を目的とした包括的な設備改修となる。
■主要設備の全面更新で生産性向上
今回の近代化では、ストリッププレス(strip press)、排煙システム(fume extraction system)、メディアシステム(media system)などの主要設備を刷新。さらに、ストリップディフレクター(strip deflector)や乳化液スプレーヘッダー(emulsion spray header)といったミル内装置も更新された。
自動化システムの更新も大きな特徴で、最新の形状制御システム(shape control system)、機械設備用補助制御、新設計の排煙システム用駆動装置、安全ロジック機能が新たに導入された。
表面品質とクリーン度が大幅改善
製品品質の面では、更新されたフラットベッド(flatbed)と乳化液フィルター(emulsion filter)により、より多くの不純物を除去し、ストリップ表面のクリーン度を向上させることに成功した。新型ストリップディフレクターは水分や油分の除去性能を改善し、表面品質のさらなる向上に寄与する。
環境面では、施設内に収まるよう特別設計された最新鋭の排煙システムが、環境負荷物質の排出量を大幅に削減する。
■モデルベース制御で形状精度を最適化
自動化システムの更新により、同ミルは将来にわたって市場需要に対応可能となった。モデルベースアルゴリズム(model-based algorithm)を使用した最新の形状制御システムは、ストリップ形状を精密かつ最適に調整し、最高レベルの平坦度を確保する。システムは将来的なハードウェアおよびソフトウェアの更新にも対応する設計となっている。
■一貫製鉄所として東部ドイツ最大の拠点
アルセロールミッタル アイゼンヒュッテンシュタット製鉄所は、製銑から製鋼、熱間圧延、冷間圧延まで、鉄鋼のバリューチェーン全体をカバーする一貫製鉄所だ。年間粗鋼生産能力は最大240万トンで、約2,650人を雇用し、東ブランデンブルク(East Brandenburg)最大の産業拠点となっている。1950年の設立以来、自動車、家電、ホーロー向けの平鋼を生産している。
今回の近代化プロジェクトにより、同製鉄所は電磁鋼板の品質競争力をさらに高め、環境負荷を低減しながら、長期的な市場ニーズに対応できる生産体制を確立した。
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