・鹿島建設と共同開発のロックボルト施工機が「エンジニアリング奨励特別賞」受賞
・安全性・生産性向上で業界に革新
古河機械金属グループの古河ロックドリル(東京都千代田区、山口正己社長)は、鹿島建設(東京都港区、天野裕正社長)と共同開発した「自動2ブームロックボルト施工機」により、一般財団法人エンジニアリング協会主催の「2025年度エンジニアリング功労者賞表彰式」で「エンジニアリング奨励特別賞」を受賞した。7月22日に開催された同表彰式で発表された。
受賞対象となった技術は、山岳トンネル工事のロックボルト打設作業における完全自動化を世界で初めて実現したもの。従来、作業員の安全確保と負担軽減が課題となっていたトンネル施工現場の作業環境を大幅に改善し、生産性向上に大きく貢献した点が評価された。
◾️100年の穿孔技術とICTの融合
古河ロックドリルが開発した「2ブームロックボルト打設ロボット『ボルティンガー』B22RL-i」は、同社が100年を超える穿孔技術開発で培った経験と最新のICT技術を組み合わせた革新的な製品だ。
従来のロックボルト施工では、崩落の危険性があるトンネル切羽付近での人力作業が中心となっており、作業員の安全確保が最重要課題となっていた。また、最大6メートルにも及ぶロックボルトを挿入する孔は、切羽穿孔より長く真っすぐである必要があり、特に地山がぜい弱な場所では施工難易度が極めて高いという技術的課題も存在していた。
◾️革新的な2つのシステム
同機の核となるのは、「穿孔位置の自動位置合わせシステム」と「自動ロックボルト打設装置」の2つの革新的技術だ。
穿孔位置の自動位置合わせシステムは、トンネル坑内の常設トータルステーションによる測定と各種センサーを組み合わせ、実機の打設位置・角度を正確に把握する。従来は作業員が被災リスクの高い切羽直前で壁面に打設位置をマーキングし、目視で打設角度を合わせていた作業が完全自動化された。
自動ロックボルト打設装置は、穿孔(ドリルセクション)、モルタル注入(モルタルセクション)、ボルト挿入(ボルトセクション)の3工程を一体化した独自構造を採用。アンカーを回転中心として各セクションが順次切り替わる設計により、一連の打設作業を自動かつ連続的に実行できる。
◾️大幅な作業効率向上を実現
従来約90回の操作工程が必要だったロックボルト打設操作は、画面上のボタンを1回押すのみで完了する。左右のブームにユニットを搭載することで、最大24本(12本×2)のロックボルトを連続自動打設でき、最大6メートルのボルトに対応する。
このような一連作業(穿孔位置への誘導、穿孔、モルタル注入、ボルト挿入)の完全自動化は世界初の技術であり、施工現場における安全性・効率性の飛躍的な向上を可能にした。
◾️業界の期待高まる
エンジニアリング奨励特別賞は「実用化が期待される先駆的技術の開発」に功績のあったプロジェクトに贈られる賞で、今回は7件が受賞した。トンネル工事の自動化・省人化が業界全体の重要課題となる中、同技術への期待は高まっている。
古河ロックドリルでは、今後も顧客要望に応えるべく、100年を超える穿孔技術開発の経験と最新のICT技術により、土木施工現場の省力化・効率化に向けた取り組みを継続していく方針だ。
<古河ロックドリル株式会社概要>
- 設立:1961年6月
- 資本金:4億円
- 従業員数:524人(2025年3月31日現在)
- 事業内容:さく岩機の製造・販売(油圧ブレーカ、油圧クローラドリル、トンネルドリルジャンボなど)
- 本社:東京都千代田区大手町二丁目6番4号(常盤橋タワー)
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