中国の油圧メーカー恒立液圧、25年上期売上は7.0%増の約51.7億元(約1,034億円)

・当初の2025年売上目標は6%増の95億元

 中国の大手油圧機器メーカー、江蘇恒立液圧股份有限公司(Hengli Hydraulics、江蘇省常州市)は8月26日、2025年上半期(1~6月)の業績を発表した。売上高は前年同期比7.0%増の51億7,100万元(約1,034億円)、営業利益は同10.8%増の16億400万元(約321億円)、上場企業の株主に帰属する純利益(最終利益)は同11.0%増の14億2,900万元(約286億円)となった。

■業界環境:建設機械市場が回復基調

中国経済は上半期にGDP前年同期比5.3%増となり、全体的に安定成長を維持した。製造業付加価値は7.0%増、製造業利益総額は4.5%増を記録し、回復・好転の傾向が続いている。

建設機械業界では政策効果により回復基調が鮮明となり、掘削機(油圧ショベル)の国内外販売が大幅に伸長した。中国工程機械工業協会の統計では、2025年上半期の掘削機販売台数は120,520台(前年同期比16.8%増)となり、国内販売65,637台(同22.9%増)、輸出54,883台(同10.2%増)と内外ともに好調だった。

■事業概況:多角化戦略で成長を推進

恒立液圧は油圧シリンダ、プランジャーポンプ、多方向バルブ、油圧モータなどの油圧機器を主力製品とし、移動機械、トンネル工事、農業機械、工業エンジニアリング、海洋工事、新エネルギー分野に製品を供給している。海外展開も積極的に進めており、ドイツ企業買収を通じて米国、日本、メキシコに新会社を設立し、国際的な伝動設備サプライヤーを目指している。

■経営成果:効率化とイノベーションで業績向上

上半期、同社は「品質を根本とし、管理簡素化により成長を促進し、革新によって未来を勝ち取る」という創業原則の下、複数分野で成果を上げた。

運営効率面では、複数のプロセス最適化プロジェクトを実施することで全体的な運営効率が著しく向上した。人材育成にも力を入れ、23,600人回を超える従業員研修を実施し、業界の資深専門家と技術中核を継続的に導入することで、チームの専門能力を強化している。コスト管理では400項目超のコスト削減措置を実施し、原材料調達から生産工程最適化、設備保守まで幅広い段階をカバーして収益能力向上を支えた。

製品販売面では主力の油圧ショベル用油圧シリンダが30.83万本の販売実績(前年同期比15%超増)を記録した。中大型油圧ショベル向けの油圧ポンプバルブでは継続的な突破を実現し、製品シェアが向上している。非油圧ショベル業界用油圧ポンプバルブ製品シリーズも拡充が進み、販売量は前年同期比30%超の成長となった。特にコンパクト油圧バルブやラジアルピストンモータの累計売上高は昨年通年レベルに近づき、高所作業プラットフォーム、ローダー、農業機械分野での国内シェア拡大と海外市場での事業突破を実現している。

技術革新では、自主開発したデジタルサーボ工業バルブが卓越した性能で海外技術独占の打破に成功し、国内主機メーカーに信頼できる国産化ソリューションを提供した。ハンドルバルブ全自動インテリジェント生産ラインも成功裏に稼働開始し、全電子制御ハンドル生産能力の飛躍的向上を実現している。建設機械のインテリジェント化に対応した電子ポンプやボイスコイルバルブなどの革新製品も市場投入し、幅広い認知を獲得した。

海外展開では、同社の海外最大生産基地であるメキシコ工場が正式に稼働を開始した。カスタマイズされたインテリジェント製造、安定した製品品質、専門的なアフターサービス、グローバルな生産能力配置により、「恒立製造」ブランドは国際市場で存在感を高めている。現在、世界30ヶ国・地域以上に販売・サービスネットワークを展開し、海外著名建設機械メーカーへの大量供給も開始している。

■電動化戦略:リニア駆動装置事業が急成長

恒立液圧の電動化戦略の中核事業であるリニア駆動装置プロジェクトは、上半期に50種類超の新製品を開発し、すべて量産転換を完了して市場投入した。新規顧客約300社を獲得し、精密ボールねじ、直線ガイドレール、電動シリンダなどの製品群を拡充している。

同社は技術革新と卓越した品質を軸に、電子伝動・油圧伝動分野での先導的地位を継続的に強化し、グローバル建設機械業界の持続可能な発展に貢献していく方針だ。

(1元約20円換算、2025年半年度報告:上海証券取引所コード:601100)