独エンジンメーカーのDEUTZ、25年上期受注は31%増の10億3,410万ユーロ、売上は15%増の10億710万ユーロ

・厳しい市場環境下で受注・売上が大幅増加、コスト削減策も奏功

 ケルン=2025年8月7日—-独エンジンメーカーのDEUTZ(ドイツ)は8月7日、2025年1〜6月期(上期)の決算を発表し、厳しい経済・地政学的環境にもかかわらず、受注と売上が大幅に伸長したと明らかにした。新規受注は前年同期比30.7%増の10億3,410万ユーロ、売上高は15.0%増の10億710万ユーロと、いずれも大幅な増加を記録した。

 営業利益(特別項目除く、調整後EBIT)は4,710万ユーロで、営業利益率は4.7%となった。これは、ポートフォリオ戦略の進展や、実行中のコスト削減プログラム「Future Fit」による効果が表れているという。

 DEUTZのセバスチャン・シュルテCEOは、「当社はより強靭な企業体制への転換の成果を実感している。経済の不透明感や地政学的な課題にもかかわらず、売上を大幅に伸ばし、利益も確保している。新規事業の統合やコスト構造の見直しが、長期的な競争力向上に寄与している」と述べた。

■事業ポートフォリオの強化とサービス事業が成長を牽引

 成長戦略の一環として、DEUTZは発電機メーカーのBlue Star Power Systemsの買収、Rolls-Royce Power Systemsからのダイムラー・トラック向けエンジンの事業統合、排ガス後処理のHJS Emission Technologyや、オフハイウェイ向け電動駆動システムに強みを持つオランダのUrban Mobility Systemsの買収など、事業基盤の拡大を進めてきた。

 また、高収益のアフターサービス事業も堅調に推移し、上期の売上高は8.7%増の2億7,490万ユーロとなった。

 「Future Fit」プログラムにより、DEUTZは2026年末までに年間5,000万ユーロの恒常的なコスト削減を目指しており、2025年通期ではすでに2,500万ユーロ以上の削減が見込まれている。CFOのオリバー・ノイ氏は、「コスト構造の強化は、将来の成長とM&Aを含む投資余地の拡大につながる」と述べている。

■通期見通しを据え置き、緩やかな市場回復を想定

 DEUTZは2025年通期の見通しを据え置いており、売上高21億〜23億ユーロ、調整後EBITマージン5.0〜6.0%を見込んでいる。M&Aを除くフリーキャッシュフローは中二桁のプラスを想定する。欧米間の関税問題が解消されたことにより、市場の不透明感が後退し、米国市場における需要の回復を期待している。

■2025年上期業績の詳細
• 新規受注:前年同期比30.7%増の10億3,410万ユーロ(前年同期:7億9,130万ユーロ)
• 受注残:2025年6月末時点で4億9,090万ユーロ(前年同期末:3億6,590万ユーロ)
• 出荷台数:9.1%減の6万7,440台(前年同期:7万4,200台)
• 売上高:15.0%増の10億710万ユーロ
• 調整後EBIT:4,710万ユーロ(前年同期:5,010万ユーロ)
• 調整後EBITマージン:4.7%(前年同期:5.7%)
• 営業キャッシュフロー:6,080万ユーロ(前年同期:330万ユーロ)
• フリーキャッシュフロー:450万ユーロ(M&A除くと1,440万ユーロ、前年同期は3,510万ユーロのマイナス)

 出荷台数は減少したものの、平均販売単価の上昇や新規買収企業の売上寄与により、売上全体は伸長。売上単価の上昇は、製品ポートフォリオの高度化と構造改革の成果として評価されている。

 ニュースリリース

 2025年上期レポート