ハイスター・エール、25年4〜6月期決算を発表ー売上は前四半期比5%増も、関税不透明感で受注急減

 米国のフォークリフト大手、ハイスター・エール(Hyster-Yale, Inc.、NYSE: HY)は8月5日、2025年4〜6月期(第2四半期)の決算を発表した。売上は9億5,700万ドルで、前四半期比5%増となったが、関税の不透明感を背景に受注が大幅に減少した。営業損失は850万ドル、調整後営業利益は720万ドルで、いずれも前四半期から悪化した。

■フォークリフト事業:関税と受注減が収益を圧迫
 同社の主力であるフォークリフト事業の売上は、前年同期比で19%減少したものの、前四半期比では5%増加した。これは、アメリカ市場での高価格帯製品(クラス4・5:内燃機関搭載車)の販売回復によるもの。一方で、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域ではクラス1(電動車)の販売が減少し、地域全体の売上が縮小した。

 製品マージンは前年同期比で悪化した。これは、関税の影響で材料費が上昇したことや、売上構成が低価格製品にシフトしたことが主因。第2四半期だけで関税関連コストは約1,000万ドルに達し、同社はこれに対応するため価格改定を実施しているが、価格転嫁には一定のタイムラグがあるという。

 営業面では、アメリカ地域の利益は出荷減と製造固定費の吸収率低下で減少。EMEA地域も同様に、出荷量の減少と材料費・運賃の上昇が営業損失の要因となった。

■受注動向:EMEAを中心に急減、通年見通しも下方修正

 2025年第2四半期の受注額は3億3,000万ドルとなり、前四半期の5億9,000万ドルから大幅減。とくにEMEAとアメリカ地域での受注が大きく落ち込んだ。第1四半期には、関税引き上げ前の駆け込み需要が受注を押し上げたが、第2四半期は逆に関税の不透明感が受注を押し下げた形だ。6月末時点の受注残は17億ドルで、前四半期末の19億ドルから縮小している。

■生産・コスト構造改革:2026年からの本格効果を見込む
 同社は2024年に着手した生産体制の見直しを継続しており、2025年上期に140万ドルを投資。通年では400万~700万ドル、2026年には最大2,300万ドルの追加投資を予定している。これにより、2027年以降には年間3,000万~4,000万ドルのコスト削減効果を見込んでいる。

 また、子会社Nuveraの再編を通じて、2025年下期から年間1,500万~2,000万ドルのコスト削減を実現する見通し。リチウムイオンバッテリー関連の開発強化などを目的に、Nuveraの一部費用はフォークリフト事業に統合される。

■通年見通し:売上・利益ともに前年を下回る見込み
 2025年通年では、売上・生産量・利益いずれも2024年の水準を下回る見通し。関税によるコスト上昇と需要減速の影響が重しとなる。ただし、価格調整、調達先変更、生産性改善などの対応策により、下期には一定の緩和効果が期待されている。

 第3四半期については、販売増加と製造効率の改善により、営業利益は第2四半期より増加する見込み。一方で、通期の営業利益は従来予想を下回ると見込まれている。

 同社は、長期的には「Port to Home(港から家庭まで)」をスローガンに、フォークリフト事業の変革とエネルギー管理・車両自動化・物流アタッチメントなどの新規分野での成長を目指している。

<会社概要>
社名:Hyster-Yale, Inc.(ハイスター・エール)
本社所在地:米国オハイオ州クリーブランド
上場:NYSE(ティッカー:HY)
主力事業:フォークリフトおよび関連ソリューションの開発・製造・販売(ブランド:Hyster®, Yale®, Maximal®, Nuvera®)
子会社:Bolzoni(アタッチメント)、Nuvera(燃料電池)
合弁会社:住友ナコフォークリフト(日本)
公式サイト:www.hyster-yale.com

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