アマダ、25年4〜6月売上収益は7.0%減の773億円、25年度予想4,050億円(2.1%増)は据え置き

 アマダが8月7日に発表した2026年3月期第1四半期(4〜6月)の連結業績によると、売上収益は772億73百万円(前年同期比7.0%減)となった。国内は工場建設の遅延による受注残の消化の遅れなどから、251億73百万円(同0.9%減)にとどまった。海外では、欧州・アジアの市況悪化に加え、米国の関税政策に対する先行き不透明感が顧客の投資意欲を抑制し、520億99百万円(同9.7%減)となった。

 営業利益は、製造の合理化による増益効果はあったものの、減収および販管費の増加に加え円高の影響を受け、40億37百万円(同52.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は27億19百万円(同58.2%減)となった。

 同社グループは2030年に目指す姿として「長期ビジョン2030」を掲げ、2023年5月に2025年度までの3カ年計画「中期経営計画2025」を策定・公表している。中計では、①売上収益4,000億円の必達と収益性の改善、②長期成長戦略への取り組み開始、③資本政策(株主還元)の実施、④ESG経営・体制の強化、の4つの基本方針を掲げ、持続的な成長と企業価値向上を目指している。

 第1四半期の経営環境は、米国の高関税政策による貿易停滞や設備投資の抑制懸念に加え、地政学的リスクも継続しており、先行き不透明な状況が続いている。

■事業別・地域別の概況

① 金属加工機械事業
 売上収益は593億85百万円(前年同期比12.5%減)、営業利益は23億60百万円(同66.3%減)。

<板金部門 地域別の概況>
• 日本:人手不足による顧客の工場建設や付帯設備の遅延などで受注残の消化が遅れた。業種別では、空調・配電盤・電装設備などデータセンター関連の投資は堅調だったが、工作機械・建設機械・農業機械関連は低調で、売上収益は150億10百万円(同3.6%減)。
• 北米:米国では製造業回帰を背景に大手OEMや大型ジョブショップ向けの需要が堅調に推移。一方、カナダ・メキシコでは、変動する関税政策や通商協議の影響で投資の様子見が広がり、売上収益は193億06百万円(同7.1%減)。
• 欧州:米国の関税引き上げに伴う不透明感から市場全体が慎重姿勢。イタリア、北欧、東欧の一部で堅調さは見られるが、全体としては軟調。売上収益は130億80百万円(同21.5%減)。
• アジア他:関税政策の影響や競合の新興国向け攻勢により価格競争が激化。インド・マレーシア・中国では回復傾向もあるが、その他地域は引き続き厳しく、売上収益は60億49百万円(同17.0%減)。

<微細溶接部門>
 国内では、電装品や太陽光発電関連に回復の兆しはあるものの、関税影響による顧客の様子見姿勢が影響し、低調に推移。海外では、北米を中心に航空宇宙分野は堅調だが、前年に業績を牽引した医療機器やLiイオン電池分野は足踏み状態が続く。

② 金属工作機械事業
 売上収益は175億87百万円(前年同期比18.1%増)、営業利益は14億59百万円(同11.9%増)。

<切削・研削盤部門>
 海外では北米、インド、台湾、韓国を中心に、消耗品であるブレードの需要が業績を牽引。一方、国内では半導体工場建設関連の反動減や建設業の計画延期、自動車関連の低迷により減収。

<プレス部門>
 世界的に自動車産業の需要鈍化が継続。米国の関税政策の影響で投資が慎重化し、自動車部品・電機関連の売上は減少。ただし、5月1日付で加わったエイチアンドエフグループの売上を含めたことで、前年同期比では増収となった。

■今後の見通し
 2026年3月期通期の連結業績見通しについては、以下のとおり前回(5月14日)公表値を据え置いている。
 売上収益:4,050億円(前年同期比2.1%増)、営業利益:450億円(同8.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益:310億円(同4.3%減)。

 アマダ 2026年3月期第1四半期決算短信
 決算説明資料