建設機械、2026年度出荷は横ばいの2兆8,457億円と予測、建機工が需要見通し発表

 補給部品を除いた建設機械の出荷金額は、2026年度においても横ばいが見込まれている。日本建設機械工業会(建機工、会長:山本 明=コベルコ建機社長)は8月6日、会員企業60社を対象に実施した建設機械の需要予測を発表した。それによると、2025年度の出荷金額は前年度比3%減の2兆8,488億円、2026年度はほぼ横ばいの2兆8,457億円となる見込みで、2年連続の減少の後、下げ止まりが予想されている。

■全体概況

 2025年度は国内・輸出ともに縮小し、出荷金額全体では2年連続の減少。2026年度は一部機種に回復が見られるものの、小幅な改善にとどまり、通年で前年並みと予測されている。

■国内出荷:2025年度は4%減、26年度は横ばい見通し

 国内市場では、2025年度は金利上昇などを背景に設備投資意欲が減退し、油圧ショベル、ミニショベル、トラクタなど主要機種が軒並み減少した。上期は建設用クレーンと道路機械の2機種が前年同期比で増加したが、他の7機種が減少し、4,166億円(同6%減)にとどまった。下期も同様の傾向が続き、4,605億円(同3%減)と推定された。この結果、通年では8,771億円(同4%減)となり、前回(2025年2月)の予測からは529億円の下方修正となった。

 2026年度は、安定した公共投資に下支えされ、出荷金額は横ばいで推移する見通し。上期は4,185億円(前年同期比±0%)、下期は4,628億円(同±0%)と予測され、通年では8,813億円となる見込み。

■輸出:25年度は3%減、26年度は横ばい予測

 輸出市場は、北米・欧州での金利高騰の影響を受け、2025年度通年で1兆9,717億円(同3%減)と見込まれる。上期はミニショベルなどを中心に8機種が減少し、9,838億円(同4%減)、下期も7機種で減少し、9,879億円(同2%減)となった。前回予測比では697億円の下方修正となった。

 2026年度は、金利水準の安定によりミニショベルやトラクタが回復し、出荷額は通年で1兆9,644億円(同±0%)と横ばいが見込まれている。

 

 建設機械出荷金額推移(2022年度~26年度予測まで5年間)

 油圧ショベル・ミニショベルの2025年度及び26年度生産出荷台数予測

 

■会員の見方:国内需要の背景

 会員企業による見通しでは、公共投資については25・26年度ともに「横ばい」との回答が多数を占めたが、下期は「増加」の見方が増加傾向にあった。民間設備投資も同様に「横ばい」が中心ながら、25年度下期からは「増加」が「減少」を上回った。住宅投資についても、両年度で6〜7割が「横ばい」との見方を示し、「減少」見通しは後退傾向にある。

■会員の見方:海外需要の背景

 北米市場については、25年度は「減少」の見方が多数を占めたが、26年度には「増加」「横ばい」が増加。欧州市場は両年度とも「横ばい」が主流だが、26年度は「増加」の見方が顕著に増加した。オセアニアを含むアジア市場(中国除く)は「横ばい」が中心ながら、26年度は「増加」の見方が強まった。一方、中国市場は25年度は「減少」が多数派だったが、26年度は「横ばい」の見方が増えた。

■需要に影響を与える要因

 国内ではポジティブ要因として「公共投資」(123件)、「民間設備投資」(109件)、「為替動向」(25件)が多く挙げられた。一方、ネガティブ要因では「資源価格動向」(66件)、「鋼材価格」(62件)、「物流費」(42件)が目立った。

  海外では、「為替状況」(76件)、「公共投資」(66件)、「民間設備投資」(50件)がプラス要因とされる一方、「為替動向」(56件)、「ロシア・ウクライナ情勢」(40件)、「中東の紛争」(39件)がリスク要因とされた。

 なお、調査では13項目の影響要因から優先順位をつけて3つまで回答を求め、影響度は①=3点、②=2点、③=1点で加算された。

■米トランプ政権の影響:見方は分かれる

 トランプ新政権下の米国における建機需要への影響については、会員企業54社のうち、「増加」と見込む企業は26%、「現状維持」が26%、「減少」が48%にのぼった。

 「増加」派はオイル・ガス関連の投資拡大に期待を寄せ、「現状維持」派はインフラ整備と関税リスクが相殺されると分析。「減少」派は関税引き上げ、インフレによる購買力低下、景気減速を懸念し、慎重な姿勢を見せた。

■調査概要

 本調査は、建機工が2025年7月時点での正会員60社を対象に実施したもので、建設機械9機種に分類し、2025年度・2026年度の上下期それぞれの国内出荷額・輸出額をアンケート方式で予測。今回で68回目の実施となる。

 日本建設機械工業会HP