中国工程机械工業協会(中国建設機械工業協会):2025年5月17日
2024年、中国建設機械業界は「第14次五カ年計画」の目標達成に向け、着実な進展を遂げました。複雑な国際情勢と国内の課題に直面しながらも、中国共産党と政府のマクロ経済政策が功を奏し、経済全体が安定的に推移。建設機械業界もこの流れに乗り、科学技術革新、産業基盤の高度化、サプライチェーンの現代化において大きな成果を上げました。(蘇子孟会長報告より要約抜粋)
■経済指標の回復と輸出の過去最高更新
2024年の業界の経済運営は安定しており、主要経済指標は軒並み回復基調を示しました。特に注目すべきは、協会が重点的に連絡を取る企業グループの営業収入が前年同期比1.91%増、利益総額は10.1%増を記録した点です。主要12品目の国内外販売台数は合計185.5万台に達し、前年比4.5%増となりました。
国内市場では、「両新」(新たなインフラ建設と都市化)政策が寄与し、インフラ建設と密接に関連する油圧ショベルなどの製品が底打ちから回復。油圧ショベルの国内販売台数は前年比11.7%増と力強い回復を見せました。
国際市場での存在感も一層強まり、2024年の建設機械輸出額は528.59億ドルに達し、前年比8.87%増と、4年連続で過去最高を更新しました。特にアフリカ向け(44.5%増)、アジア向け(13.4%増)、南米向け(11%増)の伸びが顕著でした。輸出全体の47.3%を「一帯一路」沿線国・地域が占めています。
2025年第1四半期も好調を維持しており、協会が重点的に連絡を取る企業グループの営業収入は前年同期比16.7%増、利益総額は32.8%増と、力強い成長を遂げています。輸出入総額も前年同期比7.22%増となり、輸出額は129.2億ドルで7.61%増と堅調に伸びています。
■革新と技術による産業構造の高度化
建設機械業界は、革新能力と産業構造の最適化を加速させています。「工程機械業界科技節」の成功は、産学官連携を強力に推進し、技術革新と研究成果の実用化を大きく前進させました。
特に、動力、伝動、油圧、電気、アクチュエーターといった基幹技術の研究開発投資が強化され、多くの画期的な成果が生まれました。ハイエンドの完成機向け総合技術や制御技術、情報技術、産業用ソフトウェア、人工知能の研究と応用が加速し、数々の研究成果と実用化事例が生まれました。
産業基盤の高度化とサプライチェーンの現代化も着実に進展し、主要なコア部品の国産化が徐々に進んでいます。標準化の取り組みは製品設計からアフターマーケットまで拡大し、国家標準、業界標準、団体標準が連携して促進される体制が構築されています。また、スマート製造とインテリジェント製品の導入が進み、デジタル技術が企業のデジタル変革と能力向上に貢献しています。
■2025年の市場見通しと業界の取り組み
2025年、中国建設機械業界は引き続き安定した運営と着実な進展を示すと予測されています。これは、中国政府がより積極的なマクロ経済政策を推進し、経済の安定と質の高い発展を支える好材料が増え続けることが背景にあります。外部環境の厳しさが増す中でも、中国建設機械の技術、製品、サービスが国際的なユーザーから認知・評価されており、輸出額は引き続き高水準を維持すると見られています。
■顧客ニーズの変化と需要構造の多様化
近年、中国の建設機械業界は顧客ニーズの劇的な変化に直面しています。これまでの「量」から「質」と「多様性」が求められるようになり、単一製品から複合的な作業に対応するシステム、デジタル化・スマート化された機器への移行が進んでいます。レンタルや外部委託といった調達方法も増加し、市場は複雑な構造へと変貌を遂げています。
顧客は製品の品質、性能、サービスに対し、多機種連携、個別最適化、デジタル化・スマート化、調達方法の多様化といった高い要求を突きつけています。また、需要構造も新規購入が主だった段階から、既存設備の更新と新規購入が並行し、あるいは更新が主となる段階へと移行しています。
■2025年の重点取り組み
2025年、建設機械業界は以下の三本柱を掲げ、積極的に推進していく方針です。
・技術革新と産業の融合の加速:
建設機械のハイエンド化、スマート化、グリーン化を軸に、技術革新と産業の融合を加速。
・弱点分野への重点的な研究開発投資と自主イノベーション能力の向上。
・基幹技術の攻略と技術成果の転化プロセスの加速。
・産学研用(生産、学術、研究、利用)の連携強化とサプライチェーンの協力体制構築。
・「建設機械科学技術フェスティバル」の継続的な推進。
・内需拡大戦略への貢献:大型インフラ建設プロジェクトへの積極的な参加を通じた市場需要の喚起。
・農村市場の開拓と、ニーズに合わせた小型で多機能な建設機械製品の開発。
・都市の再開発や環境保護プロジェクト向けの、グリーンで環境に優しい建設装備の開発。
・グリーンで持続可能な発展の推進:電動、ハイブリッド、水素エネルギーなど、新エネルギー製品の研究開発と普及加速。
・資源の節約と循環利用を重視した製品設計、生産プロセス、ライフサイクル管理の強化。
・グリーン施工ソリューションの提供と省エネ施工技術の普及。
■業界の健全な発展に向けた羅針盤
業界は、持続的な成長のためにサプライチェーンの安定化と人材育成を不可欠としています。サプライチェーンの協調性強化と管理の高度化、情報技術を活用した最適化、緊急供給メカニズムの構築が求められます。人材面では、国内外の専門人材育成、大学や専門学校との連携強化、魅力的なインセンティブ制度の確立が重要です。
グローバル市場での存在感強化のためには、海外市場の開拓と最適化、国際協力の深化、国際標準化への積極的な取り組みが推進されます。
また、業界全体の健全な発展のためには、「内巻」(過度な内部競争)からの脱却が喫緊の課題です。ブランド力強化、製品と生産能力の拡大における選択と集中、新たな応用シーンの開拓、サービスモデルの最適化を通じて、健全な市場秩序を維持し、国内外市場における中国建設機械の良好なイメージを確立するよう呼びかけています。
■AI活用と「第14次五カ年計画」の達成
建設機械業界はAI技術の導入を加速させ、設計、生産、物流、マーケティング、サービス、アフターマーケットといったあらゆる企業活動の段階でAIの活用を推進しています。業界団体はAIが建設機械および建設施工に与える影響について専門的な研究を進め、業界全体のデジタル変革とインテリジェント化を支援。産学研連携を通じてAI公共サービス製品の開発と研究成果の実用化を促進し、企業のコスト削減にも貢献する見込みです。
2025年は「第14次五カ年計画」の最終年にあたります。これまでの質的発展を土台に、国内外の市場を視野に入れ、イノベーション駆動、ハイエンド化、スマート化、グリーン化を核として、計画目標の高品質な達成を目指します。これにより、「第15次五カ年計画」における建設機械業界のさらなる高水準な発展への強固な基礎を築き上げる方針です。
2025年9月23日から26日には、北京で「中国(北京)国際建設機械、建材機械及び鉱山機械展覧会(BICES 2025)」が開催されます。この展示会は、「第14次五カ年計画」期間中に達成された建設機械業界の進歩を体現する場となり、国内外からの来場者との活発な交流が期待されています。
業界は2025年、発展への自信と決意を胸に、「質の高い発展」**を最重要課題と位置づけ、困難を克服し、強大な国家建設と民族復興の偉業を全面的に推進するため、弛まぬ努力を続けていくでしょう。
会長報告リリースより抜粋
*リリース内容から「ですます調」で表記しています。
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