カナデビア、24年度売上は9.8%増の6,105億円、25年度予想は1.6%増の6,200億円

 カナデビア(旧・日立造船)が5月12日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、受注高は、主に環境部門の増加により、前期を上回る765,910百万円(7.1%増)、売上高は、主に環境部門の増加により、前期を上回る610,523百万円(9.8%増)となった。
 損益面では、営業利益は機械・インフラ部門及び脱炭素化部門が悪化したが、環境部門の改善により、前期から改善し26,946百万円(10.8%増)となった。営業利益は改善したものの、持分法による投資利益の減少及び為替差益の減少等により、経常利益は前期から悪化し24,329百万円(5.1%減)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用の減少等により、前期から改善し22,103百万円(16.3%増)となった。  

■連結業績の概要
 2024年度の経済情勢は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響等も、国内景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。
 こうした中で、カナデビアグループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進している。

 舶用エンジン事業に関する不適切行為については外部有識者で構成される特別調査委員会より、2025年3月25日に調査結果及び再発防止策の提言等を受領し、同日カナデビアグループとしての調査報告書および再発防止策を公表した。また、特別調査委員会には、舶用エンジン以外の事業に関する不適切行為の有無についても調査を委託しており、2025年4月30日に調査結果を受領し、同日カナデビアグループとしての調査報告書および再発防止策を公表した。カナデビアグループとしては、今回の調査結果を厳粛に受け止め、再発防止策に取り組むとともに、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策に取り組むことで、ステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めていく。

 カナデビア(日立造船)2024年度通期データ

■セグメントごとの連結業績
<環境部門>
 海外子会社の売上増加により、売上高は前期を上回る453,471百万円となった。営業利益についても、国内EPC及び海外子会社の収益改善等により、前期を上回る25,403百万円となった。

<機械・インフラ部門>
 精密機械及びインフラが減少したこと等により、売上高は前期を下回る82,989百万円となった。営業利益も減収に伴う減益により、前期を下回る1,016百万円となった。
<脱炭素化部門>
 風力発電の増加等により、売上高は前期を上回る70,247百万円となった。一方で、営業利益はプロセス機器及び脱炭素化の収益悪化等により、前期を下回る101百万円となつた。
<その他部門>
売上高は前期を上回る3,814百万円、営業利益も前期を上回る496百万円となった。

■次期の見通し
 次期の連結業績の見通しについては、受注高は、当期に環境事業で国内・海外ともに継続的事業の大口案件の受注があったが、次期は同様の案件を見込んでいないため、当期を下回る700,000百万円(8.6%減)を目標とする。

 一方、売上高は、環境事業で海外子会社における継続的事業の伸長を織り込み、当期を上回る620,000百万円(1.6 %増)を見込んでいる。損益面では、営業利益は、当期とほぼ同水準である27,000百万円(0.2%増)となる見込み。また、経常利益は23,000百万円(5.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,000百万円(27.6%減)となる見込み。

 なお、一連の不適切行為による業績への影響は未定。今後、業績への影響が見込まれる場合には速やかに業績見通しに反映していく。

 2025年3月期決算短信
 2024年度決算説明会資料