日立産機システム、機械学習による空気圧縮機向け「予兆診断サービス」提案開始

・保守員ノウハウとデータの組み合わせで保守作業効率化

 ㈱日立産機システム(以下、日立産機)は6月19日、工場設備などの動力源等として使用されている空気圧縮機向けに、遠隔監視で得られたデータを機械学習によって分析した結果と、日立産機の保守員が蓄積した知見を組み合わせることで、設備停止につながる不具合や異常を事前に検知・予防する「予兆診断サービス」の提案を開始したと発表した。また、同サービスでは保守員のノウハウを生かして運転効率を低下させる要因の影響を推測し、より環境負荷を抑えた効率的な運転を提案することも可能。

■取り組みの背景
 空気圧縮機を安定して稼働するためには、保守点検を行う専門技術者が必要だが、少子高齢化などの影響を受けて技術者は減少しており、リモートでの保守管理や作業の効率化が急務となっている。また、地球温暖化防止の観点から、より消費電力を抑えて効率的に設備機器を運用し、環境負荷を低減するニーズも高まっている。
 日立産機は2017年10月より設備監視サービス「FitLive」*を提供しており、遠隔監視により各製品の稼働状況を把握し、問題発生時には警報を自動送信することで設備停止の時間を削減している。今回、空気圧縮機向けFitLiveのデータを分析した結果、警報や故障のうち、温度に起因するものが全体の約75%を占めていることが分かった。このため、警報や故障に至る前に温度上昇の傾向を捉えることでさらなる機器の安定稼働につながると考え、センサーで温度上昇の傾向を感知した際、機械学習を用いて将来の影響を推測し、不具合を未然に対策する予兆診断サービスを開発した。

*日立産機システムが提供する設備監視サービス。

■サービスの特長
同サービスでは、日立産機の保守員がこれまで保守管理作業の中で蓄積してきたノウハウを体系化し、判断材料として活用している。機械学習による診断とノウハウの組み合わせにより予兆診断を行い、結果と推定の根拠とした要因を表示する。従来は把握したデータをもとに保守員が推論を立ててコンサルティングを行っていたが、同サービスでは自動で予兆診断を行うことで保守員がより具体的に、効果的な提案をすることが可能になった。
また、空気圧縮機の周辺温度が高くなっている場合や、フィルターの清掃が必要となった場合など、空気圧縮機の性能が低下する傾向が認められる場合についてもデータから把握し、より効率的な運転方法を提案することができる。
現在、同機能の対象となる機器はNEXT3シリーズの給油式スクリュー空気圧縮機22/37kWのインバータタイプのみだが、今後は対象機種を拡大する予定です。同サービスの拡充を通じて、よりきめ細かくスピーディーな予防保全提案を行い空気圧縮機の稼働停止を最小限に抑えるとともに、エネルギー消費を抑え、環境負荷の低減につながる運用の提案につなげていく。

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