ヤンマー、2023年度売上は5.8%増の1兆814億円、24年度予想は2.9%減の1兆500億円

 ヤンマーホールディングス(大阪市北区)が6月19日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高は前年度(1兆222億円)に比べ 5.8%増の1兆814億円となった。経常利益は前年度(618億円)に比べ30.1%増の804億円となり、 売上高経常利益率は7.4%。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度(419億円)に比べ 18.1%増の495億円となった。また、連結売上高に占める海外売上高は前年度(6,205億円)に比べ6.6%増加し6,613億円となり、海外売上高構成比は61.2%となった。

 2023年度において、世界経済はイスラエル・パレスチナ情勢やウクライナ情勢などの地政学リスクやインフレに伴う金融引締めが続く中、全体として景気に緩やかな減速が見られた。一方で日本では物価高によるマイナス影響が一部見られ、個人消費が低調だったが、円安により同社を含む輸出関連企業の収益が好調に推移した。

 ヤンマーHD2024年3月期通期データ

■セグメント別の概況

<産業用機械事業>
 同セグメントは、農業機械、建設機械、ガスヒートポンプ並びに常用・非常用発電機により構成。
 農業機械の国内市場においては、資材価格の高騰による需要の減退が影響し、売上高は前年度と比べ減収となった。一方、海外市場は、トルコ、ブラジルなど新興国市場において、前年度に比べ増収となった。
 建設機械は、国内市場の底堅い需要に加え、海外市場において、特にブラジル、オセアニア地域を中心に売上高が好調に推移し、全体として前年度を上回った。
 ガスヒートポンプについては、底堅い需要に支えられ、前年並みとなった。発電機は海外市場の旺盛なエネルギー需要を取り込み、売上高は全体として前年度と比べ増収となった。

<内燃機関及び関連機器事業>
 同セグメントは、産業用エンジン、舶用エンジン、コンポーネントにより構成。
 小形産業用エンジンについては、堅調な需要を背景に売上高は前年度を上回った。舶用エンジンについては、底堅い海運市場を背景とした建造需要を取り込み、売上高は前年度を上回る結果となった。トランスミッション、ギア、工作機械を中心としたコンポーネントについては、北米市場における需要減退の影響があり、売上高は前年度に比べ減収となった。

■今後の見通し
 農業機械は、生産用資材価格の高止まりの影響で国内需要は伸び悩む一方、海外は新興国市場を中心に好調を維持することが期待される。産業用エンジン及び建設機械は、北米と欧州では在庫調整の局面にあり、中国も前年並みの需要水準が継続すると見込んできる。また、インフレや人件費の上昇などコストアップが継続し、為替レートが前期に比べ円高に推移すると想定するため、減益を予想している。今年度の取り組みとして、前年に 引き続き産業機械用バッテリー動力の開発や、カーボンニュートラル達成に向けた多燃料パワーソースに対応したエンジンの開発を加速させていくとともに、持続可能な社会を目指した「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」の取り組みを推進する。また次世代経営基盤構築に向けてDXの更なる促進やIT基盤構築の強化にも取り組んでいく。

 2024年度(2025年3月期)の連結業績見通しについては、売上高1兆500億円(前期比2.9%減)、 営業利益440億円(同28.3%減)、経常利益500億円(同37.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益340億円(同 31.4%減)を予想している。
 なお、業績の見通しの前提となる為替レートについては、1米ドル=140円、1ユーロ=150円を想定している。

 ニュースリリース
 ヤンマーの2024年3月期決算短信