住友商事 、カタールエナジーと油井管の供給契約を締結

・世界最大級のブルーアンモニア製造プラント向け、CCS用高合金シームレス油井管を受注

 住友商事は6月14日、カタール国営エネルギー会社、カタールエナジー (QatarEnergy)と油井管の供給契約を締結したと発表した。同契約で供給する日本製鉄製の高合金シームレス油井管は、カタールエナジーがカタール国メサイード地域で主導するブルーアンモニア(※1)製造プラント建設プロジェクト(通称:Ammonia 7)でのCCS(※2)用途として使用される。同プロジェクト向け供給数量は約1千トンとなり、日系企業として初の中東地域でのCCS案件向け油井管受注となる。同製品では、日本製鉄が開発した低CO2鋼材「NSCarbolex® Neutral(エヌエスカーボレックス ニュートラル)」(※3)が採用される。

 カタールは、世界3位の天然ガス埋蔵量を誇り、LNG輸出量では世界シェアの約2割を占める天然ガス産出国で、トランジションエナジーとしての天然ガス供給を行いながら、脱炭素に向けたアンモニア製造やCCSプロジェクトにも取り組んでいる。カタールエナジーが進めるブルーアンモニア製造プラント建設プロジェクトは、カタール屈指の工業地域であるメサイード地域から排出されたメタンガスからCO2を分離、地中に貯留した上で、アンモニアを生産する。同プラントは、2026年に稼働開始を計画している、年産120万トンの世界最大級のアンモニア製造プラントとなる。

 地中に圧入されるCO2には各種不純物が混ざっており、油井管の腐食性が高まる。日本製鉄の高合金油井管は、これまで過酷な石油・ガス開発の環境において優れた耐腐食性を示しており、近年では従来の油田・ガス田に加えて、他地域でのCCSなどの脱炭素、新エネルギーの分野でも採用されている。

 住友商事は、日本製鋼管の海外輸出からスタートした後、卸売り、サプライチェーンマネジメント、メンテナンスなどへ事業範囲を拡大し、カタールでは1990年代から30年以上にわたり、油井管を供給してきた。近年では、石油に比べて燃焼時のCO2の排出量が少ないとされる天然ガス開発や温室効果ガス削減に寄与するCCSやCCUS(※4)プロジェクト向けに鋼管を販売するなど、気候変動緩和への取り組みも進めており、今後もエネルギーの安定供給とCCSを始めとしたカーボンニュートラル社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく。

(※1)アンモニアの製造過程で発生するCO2を回収・活用したカーボンニュートラルなアンモニア
(※2)Carbon dioxide Capture and Storageの略称。産業活動から排出されるCO2を回収・貯留すること
(※3)マスバランス方式を活用し鉄鋼製造プロセスにおけるCO2などの温室効果ガスの排出削減量を割り当てた鉄鋼製品
(※4)Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称。産業活動から排出されるCO2を回収・貯留・利活用すること

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