日立エナジー、クリーンエネルギー転換の加速に向けて2027 年までに45 億ドルを追加投資

・日立エナジーの受注残高は 2020 年の 3 倍以上となり 300 億ドル超に

・2024 年から 2027 年にかけて 45 億ドルを追加投資、変圧器の製造能力向上への 15 億ドル超の投資と合わせて、過去 3 年間の投資額の 2 倍超に

・全製品ポートフォリオに関わるスウェーデンの工場の増強と新施設建設に約 3 億 3,000 万ドルを投資し、2,000 名を増員

・インドのグローバル・テクノロジー・アンド・イノベーションセンターを 4,000 名以上に増員し、40 カ国超にサービス提供

 日立エナジーは6月7日 、2024 年から 2027 年にかけて 45 億ドルを投資し、製造、エンジニアリング、デジタル、研究開発、パートナーシップを強化すると発表した。この投資は、今年 4 月に発表した変圧器の製造能力向上に向けた 15 億ドル超の投資に追加されるもの。合計約 60 億ドルの投資は、過去 3 年間の投資額の 2 倍超にあたる。

 また、今回投資の一部として、約 3 億 3,000 万ドルを投じ、スウェーデン王国・ルドヴィカの旗艦工場を増強するとともに、同国ヴェステロースに研究開発センターと工場から成る施設を新設する。さらに、インド共和国のグローバル・テクノロジー・アンド・イノベーションセンターでは、40 カ国超へのサービス提供に向けて、従業員数を 4,000 名以上に増員する。

 今回の投資を含む一連の投資により、日立エナジーは変圧器、HVDC、高電圧製品に関するグローバルの研究開発、エンジニアリング、製造に関する能力を向上させ、顧客の目標達成を支援するとともに、市場の需要に対応する。また、今回の投資は、「日立エナジー2030」成長戦略に沿う形で、パワーエレクトロニクスベースのソリューション、グリッドオートメーション、ソフトウェアソリューション、サービスの展開を加速させる。さらに、パートナーシップ、サプライチェーン、デジタル化、オートメーションへの投資により、製造能力を強化し、市場への供給スピードを向上させる。

 今回の投資により、30,000 平方メートル以上拡張され、HVDC プロジェクト向けの大型変圧器の製造能力が増強される。ヴェステロースの新施設は、すべてのビジネスユニットに関する研究開発センターと、グリッドオートメーション関連の最先端の工場から成り、1,800 名の従業員を擁す。

 加速するエネルギー転換を支援するために、日立エナジーはスウェーデンにおいて 2,000 名を新規雇用する。

 脱炭素社会の実現には電化が不可欠。また、拡大する電力網に対応するために、革新的なソフトウェアソリューション・サービスと、重要機器の製造能力強化が求められている。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電による電力の連系を拡大し、交通、ビル、産業分野などの電化需要を満たすためには、安心・安全かつ柔軟な電力網が必要。また、IEA によると、生成 AI の使用増加とデジタルデータの継続的な増加にともなうデータセンターの拡大により、データセンターと AI 由来の世界の電力需要は 2026 年にかけて倍増する可能性がある。

 2023 年 10 月発行の IEA のレポートによると、多くの国が、クリーンエネルギーに向けて過去に類を見ないほどの取り組みを進めており、楽観的観測の要因になっている。しかし、世界の電力網をあらたなグローバルエネルギー経済に適応させるために、政府と企業が一丸となって取り組まなければ、電力網は危機に直面することになる。

 日立エナジーの CEO であるクラウディオ・ファキンは、「電力はエネルギーシステム全体の屋台骨であり、変化は人々の想像を超える速さで起きています。あらたなビジネスモデル、設計の統一、パートナーシップは、変化を加速させるための重要なドライバーです。世界はエネルギーシステムの変革に取り組んでいます。技術はボトルネックではありません。電化により、デジタルソリューション・サービスを適用した電力網に対して、前例のない需要が起きています。当社は、市場のリーダーとして、過去最大規模の投資、雇用、イノベーションにより、その需要に応えます。」と述べている。

 先日発表したHVDC プロジェクトは、急拡大する需要にすみやかに対応するために、日立エナジーが導入したビジネスモデルによって推進しているもの。また、日立エナジーは先日、イタリア共和国とフランス共和国間の多端子 HVDC 連系線 Sa.Co.I.3 の受注を発表した。

 政府、企業、消費者は、交通、ビルの冷暖房、産業プロセスの動力源として、化石燃料から電気への切り替えを加速している。意思決定者とオペレーターは、分析と連携のために、電力網に関するリアルタイムのデータを必要としている。デジタル化された変圧器・開閉装置・変電所・変換所、Lumada APM、IdentiQTM のようなデジタルツインデータ基盤は、より持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムにとって不可欠。日立エナジーは、日立デジタルとのシナジーを生かし、IT・OT・プロダクツおよびサービスを有する独自の強みにより、ライフサイクル全体を通じて顧客をサポートする。

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