MHIEC、横浜市保土ケ谷区の一般廃棄物焼却施設建替工事を受注

・独自開発のV型ストーカ炉3基を導入し、国内最高水準の高効率発電を実現

・休止中の保土ケ谷工場を解体・撤去し新施設を建設、完成・引渡しは2031年3月予定

・人口動態の変動やプラスチック分別への幅広い対応、地域とのつながりなどを重視した技術提案に高い評価

 三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、横浜市西区)は6月6日、横浜市から「保土ケ谷工場(仮称)改築工事」を受注したと発表した。横浜市内にある一般廃棄物焼却工場の老朽化に伴う将来的な処理能力不足に備え、現在休止中の保土ケ谷工場(横浜市保土ケ谷区)の建て替えを進めるもの。既存施設の解体・撤去と新施設の建設を合わせた総受注額は約676.8億円(税抜)で、完成ならびに引渡しは2031年3月を予定している。

 新施設は、処理能力350トン/日のストーカ式焼却炉(注1)が3基と発電設備で構成され、総処理能力は1,050トン/日。このうちストーカ式焼却炉には、従来炉の乾燥・燃焼プロセスをさらに適正化した独自開発の「低熱灼減量(注2)対応V型ストーカ式廃棄物焼却炉(以下、V型ストーカ炉)」を導入する。また、処理過程で発生する熱エネルギーを利用し、国内最高水準の高効率発電を行う。MHIECは、地元である横浜市における新施設の建設を通じて、市民の皆様のより快適な暮らしをサポートするとともに、地域のさらなる発展に貢献していく。

 V型ストーカ炉は、乾燥・燃焼・後燃焼すべての工程でストーカ面が火炎中心方向を向くようストーカ構造と焼却炉の形状を最適化することで、輻射熱を効率的に受けながら廃棄物を焼却できる点が最大の特長で、性質や状態がまちまちの廃棄物を安定的に焼却・減容化し、焼却後の灰中の未燃分(焼け残った廃棄物)の割合を減らすことで環境負荷低減に寄与する。その高い環境性などが評価され、2022年7月には一般社団法人日本産業機械工業会が主催する「第48回優秀環境装置表彰」の最高位である「経済産業大臣賞」を受賞した。

 今回の入札は、金額に加えて技術提案内容についても審査対象とする総合評価方式により実施された。選定に当たっては、脱炭素社会の実現に向けた国内最高水準の高効率発電能力、人口動態に伴う一般廃棄物の質的・量的な変動や将来的なプラスチック類の分別に対する幅広い対応、焼却灰発生量の抑制、地域とのつながりを意識した環境学習・地域利用スペースについての提案といった点が評価された。

 三菱重工の環境装置分野における技術開発力と豊富な廃棄物処理施設の建設・運営ノウハウを2008年に継承したMHIECは、建設から運営に至る総合的ソリューション提案力を強みとし、施設の新設のみならずアフターサービスや長期運営のニーズなどにも対応している。今後も、既存施設の省エネ化やAI、IoTを活用した遠隔監視・自動運転支援による焼却炉の高度化、L.C.C.(ライフサイクルコスト)低減に向けた提案を積極的に推進し、国内外での受注拡大につなげていく。

(注1)ストーカ式焼却炉は、耐熱金属の角材を並べた床の上で、廃棄物などの焼却対象物を突き上げることで移動させながら燃焼させる炉で、一般廃棄物焼却炉の主流。
(注2)熱灼減量とは、乾燥状態の焼却灰中に残る未燃分の重量比を表す値。

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