日揮グローバル、海外プラント建設プロジェクトに3Dプリンタ技術を導入

 日揮ホールディングスは6月6日、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、サウジアラビアで遂行中の原油・ガス分離設備建設プロジェクトにおいて、実証を進めてきた3Dプリンタを活用した技術を導入することが決まったと発表した。

 同プロジェクトの顧客であるサウジアラビア国営石油会社(サウジアラムコ社)は、世界最大の総合エネルギー・化学企業としてエネルギーの安全保障と安定供給を支援し、すべての事業および建設中のプロジェクトにおいて持続可能な活動を推進することを目標としている。3Dプリンタは、廃棄物やエネルギー使用量を削減し、環境負荷を低減することに加え、建設生産性の向上が期待できることからサウジアラムコ社がプロジェクトに導入を検討している技術の一つ。

 日揮グローバルは2021年10月から国内EPC事業会社である日揮が宮城県石巻市で遂行中のバイオマス専焼発電設備の建設工事現場に、デンマークのCOBOD International A/S(COBOD社)のガントリー型コンクリート系建設用3Dプリンタを設置し、プラントの配管支持構造物(基礎型枠)への3Dプリンタの適用に向けた実証に取り組んできた。

 こうした取り組みは様々な顧客から注目され、サウジアラムコ社と協議を重ねた結果、日揮グローバルが同社向けに2022年5月に受注し、サウジアラビアで現在遂行中である原油・ガス分離設備建設プロジェクトにおいて、化学品保管庫の建屋の外壁(約340㎡)を3Dプリンタで造形することが決定した。オンサイトプレキャストで製造した型枠から、オンサイトプリントによる壁面の造形というステップアップに加え、海外でのプリント作業遂行の新たなスキーム確立を視野に入れ、同様にCOBOD社の大型造形に適した3Dプリンタを保有しているサウジアラビア現地企業や現地施工会社と協力し、2024年夏ごろの造形作業の開始を目指す。

 引き続き、日揮グローバルは、グループ内のプラント建設プロジェクトへの技術導入を積極的に推進し、建設工事の効率化、さらには建設技能者の人材不足という社会課題の解の一つとして3Dプリンタの建設工事への実装を目指して、導入事例を積み重ねていく。

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