北越工業が5月9日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高は51,900百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益6,187百万円(同27.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,098円(同35.9%増)となった。
2023年度におけるわが国経済は、原材料やエネルギー価格の上昇、建設業や物流業の人手不足による機会損失などが景気を下押しする懸念はあったもの の、インバウンド需要や企業の設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復基調で推移した。世界経済においては、ウクライナ危機に伴う資源高や、欧米の政策金利高止まり、中国における政府債務の増加や不動産市場の低迷、中東での紛争による地政学リスクの高まりなどを背景に景気は減速した。
このような情勢のなかで北越工業グループは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた「常に新 しい価値を追求し、社会と産業の発展に貢献する」企業を目指して、成長戦略に取り組んだ。また、原材料価格の高騰に対する販売価格の見直しや生産効率改善による操業度の向上、 経費削減の推進により、利益改善を図った。
<建設機械事業>
売上高収益39,835百万円(前年同期比5.3%増)/ セグメント利益6,112百万円(同35.0%増)
建設機械事業セグメントは、主にエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの事業で構成。
販売面では、国内におけるホテル、工場及び倉庫などの新築・改修工事が堅調に推移し、主要都
市での再開発事業は依然として継続するなど、旺盛な建築工事需要を背景に、高所作業車の出荷が 伸長した。海外においては、北米におけるインフラ投資の旺盛な需要を背景に出荷が堅調に推移したことに加え、米ドル/円の円安効果もあって、前年同期比で増収となった。利益面では、 原材料価格の高騰が依然続いているが、販売価格の見直しを推し進めたほか、売上高の増加や 米ドル/円の円安効果、工場の操業度向上も寄与して前年同期比で増益となった。
<産業機械事業>
売上高9,939百万円(前年同期比8.5%増)/ セグメント利益1,638百万円(同14.5%増)
産業機械事業セグメントは、主にモータコンプレッサ、非常用発電機、部品、サービスなどの事業で構成。
販売面では、主力のモータコンプレッサは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた目標達
成に向けて、国内のシェア獲得を推し進めた結果、出荷が堅調に推移したことで、前年同期比で増 収となった。利益面では、原材料価格の高騰は大きな下押し要因ではあったが、モータコ ンプレッサの販売価格見直しが進んだほか、利益率の高い部品、サービスが好調に推移したことで、前年同期比で増益となった。
■次期の見通し
今後の経済見通しについては、国内においては賃金と物価の好循環によって個人消費が改善するほか、各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待される。海外においては、欧米諸国が金融引締めから順次、緩和に転じることが想定されるが、中国経済の先行き懸念や中東 地域をめぐる情勢が下押しするリスクとなっている。
このような経済環境の下、北越工業グループはこれまで培ってきたコアテクノロジーを基盤に、変化する市場にマッチした製品展開を図り、持続的な企業価値の向上を目指す。
販売面について国内では、経済の回復に伴い設備投資意欲の高まりが見込まれ、特に新規建設工 事の増加が顕著になっている。海外においても北米のインフラ投資効果により建設機械の需要の高まりは今後も継続するものと考えている。利益面では、引き続き原材料価格の高騰が 予想されるなか、米ドル/円の為替レートを前年度に対して円高基調で推移すると想定するため、経常利益では横ばいと予想している。
2025年3月期の連結業績の見通しについては、以下のとおり。
売上高56,000百万円(前期比7.9%増)、営業利益7,130百万円(同15.2%増)、経常利益7,400百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,100百万円(横ばい)。
業績予想の為替レートは、1米ドル=140円、1ユーロ=153円を前提としている。
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