・需要拡大が見込まれる国内CCUS市場への対応力強化を図る
・国内向けCO2回収プロジェクトを対象に両社の強みを生かし、幅広い産業分野の脱炭素化ニーズに貢献
・戦略的なプロジェクトパートナー獲得によりCCUS市場創出をリード
三菱重工業は5月7日、千代田化工建設とCO2回収技術の包括ライセンス契約(GLA:General License Agreement)を締結したと発表した。国内向けCO2回収プロジェクトを対象に、三菱重工が関西電力と共同開発したCO2回収技術である「KM CDR Process™」および「Advanced KM CDR Process™」のライセンスを供与するため、戦略的な協業契約を行うもの。
協業は、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の需要拡大が見込まれる国内市場において、CO2回収プラントのEPC(設計・調達・建設)対応力を強化することが目的。千代田化工は、総合エンジニアリング企業として幅広い分野でプラントのEPCを手掛け、液化設備や圧入設備といったCCUSには欠かせない周辺インフラの取りまとめを含む豊富な実績と高いエンジニアリング力を有している。提携を通じて両社の強みを生かすことで、幅広い産業分野の脱炭素化ニーズへの貢献を図る。
三菱重工は、世界各国の多様な企業とのパートナリングによって、CCUSビジネスにおける地域カバレッジの拡大と各地域での対応力強化を図っている。協業はその取り組みの一環であり、国内市場においては当社がEPCを手掛けることに加え、プロジェクトパートナーを獲得することで数多くのプロジェクト遂行を可能にしていく。今後も戦略的なプロジェクトパートナー獲得により、グローバルレベルでCCUS市場創出をリードしていく。
三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し、エネルギー需要側・供給側の脱炭素化に戦略的に取り組んでいる。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の1つが、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCO2エコシステムの構築。引き続き、独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていく。
■三菱重工グループのCO2回収技術について
三菱重工グループは、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術KM CDR Process™やAdvanced KM CDR Process™の開発に取り組んでいる。2024年5月現在、KM CDR Process™を用いたプラントを16基納入しており、さらに2基を現在建設中。またAdvanced KM CDR Process™には、これまで納入した商用のCO2回収プラント16基全てで採用されているアミン吸収液KS-1™に技術改良を加えたKS-21™が採用されている。KS-21™は、KS-1™と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されている。
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