ニデック(京都市南区)は4月15日、サーバー用の水冷モジュールを生産中のタイにおいて、CDU(Coolant DistributionUnit)の生産ラインを増強し、生産キャパシティを現在の月産 200 台から 2024 年6月までに月産 2,000 台に拡大すると発表した。
今回の CDU 生産能力増強は、北米の AI サーバーメーカーである Supermicro 社への採用を受けてのもので、同社と共同開発した 100~250kW の製品を、既存ラインを増強したタイのアユタヤ工場で生産する予定。
これまで、データセンターや企業、研究機関等で使用される演算サーバーは、ファンによる空冷方式が主流だったが、今後拡大が見込まれる AI では膨大なデータを基に学習処理を行うための AI 向け半導体演算装置(CPU/GPU)は従来に比べ格段に高い熱を発する。そのため、空調設備に依存する空冷式では、建物内の大量に並ぶサーバーを冷却することができなくなるため、空冷式に対し格段に高い冷却能力を持つ水冷式の冷却システムが今後は必須になると考えられている。
水冷モジュール市場は今後も成長を続けると予想されており、ニデックは将来的に生産能力を月産 3,000 台以上へ拡大することを視野に入れている。また、ニデックは同関連製品のマーケット規模について 2023 年度 100 億円、2024 年度には800 億円以上を見込んでいる。
ニデックの冷却システムは Liquid to liquid 方式と呼ばれる冷却システムで、各サーバーに設置された冷却モジュールから金属管を介して冷却水を供給し、各サーバー内の演算装置を直接冷却するもので、CDU(Coolant Distribution Unit)と呼ばれる冷却水分配装置と、CDM(Coolant Distribution Manifold)と呼ばれる冷却水配管、LCM(Liquid CoolingModule)と呼ばれる水冷モジュールの 3 つで構成されている。
同製品の特長は、システムの信頼性向上のためポンプや電源、回路基板などの重要ユニットが冗長性を持ち、それぞれ二つずつ備えられていること。また保守時にもサーバーの稼働を維持するため冷却システムを停止することなく、それらユニットの交換が可能(ホットスワップ機能)なことが挙げられる。
ニデックは今後も世の中の AI の発展へ向け、総合サーマルソリューションメーカーとして世の中のニーズをしっかり反映させた商材を、競合より一歩先んじた提案力と、高信頼性商材ラインナップ強化で業界のトップリーダーを目指し邁進していく。