川崎重工業は4月15日、福岡県久留米市より「久留米市次期上津クリーンセンター施設整備及び運営事業」を受注し、2024年3月26日に契約を締結したと発表した。
同事業では、ごみ焼却施設(以下、本焼却施設)〔処理量209t/日(104.5t/24h×2炉)〕、可燃性粗大ごみ処理施設〔処理量35t/5h〕及び 機密文書リサイクル施設〔処理量0.4t/h〕を既存ごみ処理施設の隣接地に建設する。DBO方式〔Design(設計)、Build(建設)、Operate(運営)〕で発注されているため、設計・施工業務に加えて、20年間の運営業務も行う。今後、川崎重工は、久留米市をはじめ地域の理解を得ながら、将来にわたり、安全で安定したごみの適正処理や周辺環境への配慮を最優先とする事業運営を進めていく。
焼却施設は、川崎重工独自の並行流焼却炉に、ごみピット均質化システム※1、改良型自動燃焼制御システム「Smart-ACC®※2」、AI運転支援システム及び遠隔監視システム「KEEPER※3」を導入することで、安定処理を実現する。また、高温高圧ボイラと抽気復水式蒸気タービンを組み合わせた高効率発電を行う。焼却施設内と隣接する市民温水プールへ、電気や熱の供給を行うとともに、一般家庭の年間使用量約6,700軒分に相当する余剰電力を売電する。発電にあたっては、運転計画自動策定ソフト「WtE-SAURS®※4」により最適な年間発電計画の策定をサポートする。
さらに、久留米市の地域的特徴である耳納連山、伝統的な城島瓦及びレンガのイメージを取り入れた建物のデザインにより、地域住民をはじめ市民から親しまれる施設を目指す。
施設の設計・施工業務は、川崎重工を代表とした、松尾建設、地元企業の黒田建設、㈱キューボウとの共同企業体が行い、運営業務は、川崎重工と㈱シンキが出資する特別目的会社「グリーンパーク久留米株式会社」が行う。
川崎重工は、ストーカ式焼却施設や粗大ごみ処理施設をはじめとした各種廃棄物処理技術を有しており、国内で半世紀以上にわたって多くの一般廃棄物処理施設を手掛けてきた。今後も、循環型社会形成の推進と脱炭素社会の実現に向けて、積極的な技術開発とその運用に取り組んでいく。
※1 ごみピット均質化システム:
近赤外線カメラで撮影したピット内画像データを解析し、算出した各区画の水分指標値をクレーン自動運転制御に活用する当社独自の技術。
※2 Smart-ACC®:
ごみ焼却施設を従来に比べてより高効率で安定した発電施設として機能させるための当社独自の高度燃焼制御技術。
※3 KEEPER:川崎重工 神戸工場内において、運転状況の遠隔監視システムおよびAI活用をはじめとする運転支援を行う当社グループ独自開発の遠隔監視システム。
※4 WtE-SAURS®:
地域のエネルギーセンターとしての価値向上に寄与するため、売電が最大となる運転計画を自動で策定するシステム。
■事業の概要
事業名:久留米市次期上津クリーンセンター施設整備及び運営事業
発注者:福岡県久留米市
契約金額:348億5,669万円(消費税込)
【建設事業】
受注者:川重・松尾・黒田・キューボウが特定建設工事共同企業体
建設場所:福岡県久留米市上津町2199-35地内
設備概要:エネルギー回収型廃棄物処理施設
ストーカ式焼却炉:209t/日(104.5t/24h × 2炉)
蒸気タービン発電機:4,850kW×1基
可燃性粗大ごみ処理施設 :35t/5h
機密文書リサイクル施設 :0.4t/h
完工予定日:2028年9月30日
【運営事業】
受注者:グリーンパーク久留米株式会社〔構成員:川崎重工業株式会社・株式会社シンキ〕
運営期間:2028年10月1日~2048年9月30日(20年間)
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