安川電機、2024年2月期売上収益は 3.5%増の5,757億円、25年2月期予想は0.8%増の5,800億円

 安川電機が4月5日に発表した2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月28日:2023年度)連結業績によると、売上収益は前期比3.5%増の5,756億58百万円、営業利益は同3.0%減の662億25百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同2.1%減の506億87百万円となった。

 2023年度における安川電機グループの経営環境は、製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が底堅く推移した一方、半導体・電子部品向けの需要は軟調に推移した。 このような環境において安川電機グループの業績は、サプライチェーンの混乱により遅れていた生産が正常化し、受注残の消化が進んだことで、前期比で増収となった。利益面については、高騰した原材料費などの価格転嫁やシステムエンジニアリングにおける事業構造改革の進展などがプラスに寄与したが、昨年度に一時的に発生した退職年金制度の変更や遊休不動産の売却などに伴うその他の収益がなくなった影響などにより減益となった。

■地域別経営環境
日本:半導体・電子部品市場における在庫調整の継続や自動車市場の投資低迷などにより、需要は総じて軟調に推移した。
米国:オイル・ガス関連の設備投資や一般産業分野における自動化投資は継続したものの、半導体市場が低調に推移するなど、需要は伸び悩んだ。
欧州:EVなどの成長市場における設備投資は継続したものの、景気後退の影響を受け製造業全般の需要は減速した。
中国:太陽光発電用パネル製造装置などの一部市場において期初に堅調な需要が見られたが、期の後半における市場全体の回復が総じて鈍く、製造業全般の需要は伸び悩んだ。
中国除くアジア:アセアン各国やインドにおいてはインフラ関連や一般産業分野などで、韓国ではEVなど自動車市場において、設備投資が堅調に推移した。

 安川電機2024年2月通期データ

■セグメント別経営成績
<モーションコントロール>
 売上収益 2,600億35百万円(前期比 +3.1% )、営業損益 381億98百万円 (前期比 +5.5%)

 モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で 構成。売上収益は半導体・電子部品向けが伸び悩んだものの、生産の正常化により販売が伸長し前期比で増収となった。利益面については、高騰した原材料費の価格転嫁による採算性の改善や新製品への切替効果などにより増益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 半導体・電子部品向けの需要低迷や在庫調整の長期化の影響を受け、売上収益は減少した。
〔インバータ事業〕生産の正常化によりグローバルで売上が拡大したことに加え、米国のオイル・ガス関連およびアセアン各国やインドにおけるインフラ関連の需要が堅調に推移し、売上収益は大幅に伸長した。

<ロボット>
 売上収益 2,346億80百万円 (前期比 +4.8% )、営業損益 251億49百万円 (前期比 △3.7%)
 一般産業分野において、中国では投資が低迷した一方、欧米を中心に人件費高騰・労働力不足を 背景とした生産の高度化・自動化の投資が底堅く推移した。また、韓国でのEVを中心とした 自動車市場における塗装関連の大口案件の売上も寄与し、売上収益は前期比で増加した。利益面については、高騰した資材の価格転嫁の取組みがプラスに寄与したものの、間接費の増加に より減益となった。

<システムエンジニアリング>

 売上収益 554億55百万円 (前期比 +8.5%) 、営業損益 56億37百万円 (前期比 +119.0%)

太陽光発電用パワーコンディショナや海外の港湾クレーン関連の販売が堅調に推移し、売上収益は前期比で増加した。利益面については、売上増加による利益増加に加え、大型風力発電関連の子会社の株式売却を行うなど、事業構造改革を進めた結果、大幅な増益となった。
<その他>
 売上収益 254億86百万円(前期比△11.8% )、営業損益4億16百万円 (前期比 △76.7% )
 その他セグメントは、物流サービス事業などで構成。売上収益・営業利益ともに前期比で減少した。

■2025年2月期業績予想
 2025年2月期(2024年3月1日~2025年2月29日)の安川電機グループを取り巻く経営環境は、半導体・電子部品市場の投資再開が見込まれる等、製造業における自動化・省力化に関する設備投資が回復する見込み。これらの市場の立ち上がり需要を的確に捉えることで、増収増益を計画。
このような状況を受け、2025年2月期の業績予想は以下のとおりとした。

 売上収益5,800億円(前期比0.8%増)、営業利益700億円(5.7%増)、税引前利益740億円(7.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益540億円(6.5%増)。

 2024年3月1日から2025年2月28日までの期間における平均為替レートは、145円/米ドル、 155円/ユーロ、20円/元、0.11円/ウォンを想定している。

 安川電機の2024年2月期 決算短信

 2024年2月期通期補足説明