・無人化施工の実現に向けた技術開発
清水建設は3月29日、ボッシュエンジニアリング、山﨑建設と共同で、土木工事の無人化施工の実現に向けた技術開発の一環として、盛土工事に従事するブルドーザーの自動運転システムを構築、実機を用いた実証試験を通じて、建機の運転制御や物体検知、緊急停止など要素機能の実効性を確認したと発表した。今後、ブルドーザーの環境認識機能の高度化を図り、自律施工型ブルドーザーの開発につなげていく考え。
国内の少子高齢化の進展に伴い、他産業に比べて高齢化が進んでいる建設分野では熟練作業員の大量離職が懸念されており、担い手の確保とあわせて生産性の向上が喫緊の課題となっている。これらの課題に対応するため、建設業界では建設機械による施工の省人化技術が求められている。
3社が構築した自動運転システムでは、操作者が盛土工事の具体的な作業内容を設定すると専用のAIがブルドーザーに搭載された3DLiDAR、GNSSなどのセンサーやカメラからの情報をもとに状況を分析し、前後進や右左折、ブレードの上下稼働といった運転制御や、物体・人の検知による緊急停止などの動作を設定通りに自動で行う。自律施工にはこれらの動作機能に加え、地形や天候、陽光の照射加減などによって対象物が盛土であるかどうかを判断する検知性能として高度な環境認識機能が必要になる。この機能を確立させるために、現在清水建設では、年間を通してさまざまな条件下での検証を行い、必要データを収集・分析しながらシステムの構築を進めている。なお、環境認識機能の一部は、国土交通省が取り組んでいる「宇宙無人建設革新技術開発」の一環として、清水建設が同省から研究開発を受託している。
環境認識機能が確立すると、AIが施工範囲の状況を把握したうえで各種の要素機能や関連システムと相互連携を図るようになり、それぞれの動作が自律化する。これにより、ブルドーザーが最適な走行経路を自ら判断し、適時適切に盛土工事を行う、自律施工が実現する。
建設機械による自律施工の拡大は、生産性の向上や省人化に加え、作業員の業務負荷の軽減による労働環境の改善につながる。まずはブルドーザーの自律施工を確立させ、将来的にはブルドーザー以外のさまざまな建設機械でも自律施工を可能にしていくことで、建設現場の無人化施工を目指すとともに、建設業のDX化を図っていく考え。
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