丸紅、チリ・センチネラ銅鉱山の拡張プロジェクトに関する投資意思決定を発表

・チリ民間企業初となる自動走行する無人ダンプトラックを操業に取り入れ

 丸紅株式会社:2023年12月20日

 丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、英国・Antofagasta plc(以下、「アントファガスタ社」)と共同出資するチリ共和国(以下、「チリ」)・Minera Centinela社(以下、「センチネラ銅鉱山」)における、拡張プロジェクト(以下、「本拡張プロジェクト」)について投資意思決定を行いました。

 銅の需要は、新興国の発展に伴う電化・インフラ整備の拡大に加え、グリーントランジションに伴う電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの拡大などによって、更なる増加が見込まれています。一方の供給面では、既存鉱山の品位低下や資源枯渇による生産量低下に加え、環境許認可取得難化・所在地の僻地化等により新規鉱山も開発難度が高まることで供給の拡大が見込めず、長期的に銅は供給不足に陥り需給ギャップが拡大していく見通しです。

 本拡張プロジェクトは、既存の選鉱プラントの南約7kmの場所に新規の選鉱プラントを建設することで銅精鉱の生産能力を倍増させるものです。既存の選鉱プラントにはEsperanza銅鉱床とEsperanza Sur銅鉱床から給鉱していますが、新規の選鉱プラントにはEsperanza Sur銅鉱床とEncuentro銅鉱床※1から給鉱し、銅精鉱を生産します。本拡張プロジェクト後のセンチネラ銅鉱山全体の銅生産量は、約14万トン/年の増産により生産量で世界トップ15の銅鉱山となる見込みで、丸紅の持分権益銅量(銅地金換算)は約4万トン/年増加します。また、副産物の金生産量でもチリ有数の金鉱山に分類される規模となります。

<センチネラ銅鉱山概要(拡張後)>
所在地:チリ・Antofagasta州
埋蔵量:20億トン
生産期間:2001 年~2059年
持分権益比率/会社名/権益比率:
アントファガスタ社 70%/丸紅 30%

生産される銅精鉱は日本含め世界中の製錬事業者に重要となる不純物の少ない原料であり、世界の銅の安定供給に貢献します。初期開発費用は44億米ドルを見込みますが、センチネラ銅鉱山でプロジェクトファイナンスを組成予定で両株主の資金負担は40%程度となる予定です。2024年より建設を開始、2027年の生産開始を計画しています。

 センチネラ銅鉱山では、操業用水への海水利用、使用電力の100%再生可能エネルギー化、濃縮尾鉱堆積等、環境に配慮した持続可能な銅生産を行っています。また、鉱山労働者の安全性と生産性を高める最先端技術としてチリ民間企業初となる自動走行する無人ダンプトラックを操業に取り入れるほか、近隣のAntofagasta市にリモートコントロールセンターを設置しています。2021年には銅の「責任ある生産」を示すCopper Mark※2認証を取得しました。

 丸紅は、2008年にセンチネラ銅鉱山の開発へ参入以降、長年に亘りアントファガスタ社とセンチネラ地区周辺の豊富な資源量を生かす本拡張プロジェクトの検討を進めてきました。本拡張プロジェクトによって、世界でも屈指の生産量とコスト競争力を有するセンチネラ銅鉱山を更に成長させることを目指します。また、丸紅は、中期経営戦略「GC2024」においてグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つと位置付け、銅事業をグリーン事業と分類しています。今後も持続可能な銅の安定供給を担うとともに、銅事業の拡大に取り組んでいきます。

1 Encuentro銅鉱床:2015年にアントファガスタ社と共同開発に合意した鉱床。酸化鉱から銅地金を生産中で新規の選鉱プラントを建設後に深部の硫化鉱を開発予定。

2 Copper Mark:国際銅協会(International Copper Association, ICA)によって設立された銅産業の「責任ある生産」ならびに国連が提唱するSDGsへの貢献を示す認証制度。

<アントファガスタ社概要>
会社名:Antofagasta plc
所在地:英国ロンドン
設立年:1888 年
事業内容:銅精鉱及び銅地金の生産・販売事業、輸送事業、水事業
ウェブサイト :http://www.antofagasta.co.uk/

 ニュースリリース
 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。