千代田化工建設は12月20日、日本国内の事業者(社名非公開。以下顧客)より、日本国内の特定海域における浮体式洋上風力発電所建設に向けた実現可能性の検討業務(FS業務)を受注したと発表した。
千代田化工建設は、顧客が検討を進める浮体式洋上風力発電所の建設に向け、浮体建造のサプライチェーン、輸送・保管・据付、日本法規対応等の遂行計画を中心に一括元請として全体を取り纏め、Technip Energies France S.A.S 社(フランス、以下、テクニップ社)と共に同業務の実現可能性の検討を進めていく。
千代田化工建設とテクニップ社は 20 年以上に亘り、天然ガス分野を中心に継続的かつ友好的な関係を構築してお り、洋上風力分野においても日本国内の浮体式洋上風力発電事業に関するノン・エクスクルーシブ *1 の 覚書を締結した。同業務における浮体構造の設計はテクニップ社がライセンスを保有するセミ サブ(半潜水)型の浮体技術を基に共同で推進する。
テクニップ社は世界初の Floating LNG など多数の石油・ガス関連の洋上設備建設の実績を持ち、欧 州・韓国を中心に世界各国の浮体式洋上風力発電プロジェクトにおいて浮体設計のテクノロジープロバ イダー・コントラクターとして実績を有しており、セミサブ型の浮体設計においては INO TM など優れた技術を有するトップランナー。
一方、千代田化工建設は日本国内での再生可能エネルギー関連設備や石油化学・LNG 受入基地の EPC で多くの実績 を持つとともに、国内の着床式洋上風力分野においては 2018 年から知見を積み重ね、これまでに複数の基本設計業務などを受注・完遂している。両社の技術・ノウハウを組み合わせることで千代田化工建設とテクニップ社はコスト競争力があり実現可能性の高い浮体式洋上風力発電所の建設計画を立案できると確信している。
昨今、ウクライナ危機に端を発するエネルギー安全保障、またパリ協定に基づく 2050 年カーボンニュ ートラル実現の観点から、日本の将来における再エネ主力電源として洋上風力発電所の導入拡大への期待は高まっている。特に浮体式洋上風力発電所は海洋国家である日本の地の利を生かせる点で、非常に有望な電源であるといえる。千代田化工建設は浮体建造、調達、輸送、風車据付の遂行計画、及びプロジェク ト遂行におけるマネジメントといった実践的な経験を通じて同分野における知見を積上げていく。そして、安全で実現可能性の高い浮体式洋上風力発電の社会実装を通じて、カーボンニュートラル 社会の実現に積極的に取り組んでいく。
*1:ノン・エクスクルーシブ(Non-Exclusive)とは、特定の組織に限定せず複数の組織が同じ権利や利益を共有することが可能 な排他的でない関係性を指す。