IHI汎用ボイラ、都市ガス専焼と水素混焼に切替運転が可能なハイブリッド型ボイラを開発

・トヨタ自動車九州産水素を活用する運用評価を開始
 IHIのグループ会社である㈱IHI汎用ボイラ(東京都江東区)は12月19日、都市ガス専焼モードと水素混焼モードを備えた産業用小型水素混焼ボイラを開発したと発表した。

 水素燃料は体積比60%(熱量比30%)を上限に、都市ガスの専焼もしくは水素混焼への切替運転が選択できるため、水素燃料の調達計画に応じて柔軟な運用が可能。2024年1月より,トヨタ自動車九州宮田工場内で運用評価試験を開始する。2024年度に販売開始を目指し、開発を加速していく。

 同設備は、工場内で使用される蒸気を製造するボイラで自動車、食飲料品、製紙、石油化学で使用されているIHI汎用ボイラの貫流ボイラを基に開発したもの。水素燃料の供給変動性を補うために、盤面の操作だけで水素混焼モードと都市ガス専焼モードを切替えて運転できることを特徴としている。これにより水素の供給量に合わせて柔軟にボイラを稼働できるため、ラインを止めずに熱源を供給できる。合わせて計画的なCO2排出量の削減が可能となる。

 これまでに新たに開発した水素混焼用バーナを用いた試験を、IHIグループの技術開発の中核拠点である横浜事業所で行い、都市ガス専焼時および水素と都市ガスの混焼時において水素混焼時に課題となるNOx排出量を都市ガス専焼時と同等に抑制できることを確認した。

 今回はトヨタ自動車九州に発生蒸気量750kgの試験機を設置し、工場敷地で生成した水素を燃料として使用する運用評価試験を行う。現場で運用することで得られた結果を、開発にフィードバックし、水素混焼比率の拡大、さらなる低NOx化などに取り組み,2024年の販売開始を目指す。

IHI汎用ボイラは今後、水素・アンモニアといった新たな燃料バリューチェーンに適応するボイラのラインナップ拡充に取り組み、産業界のカーボンニュートラル化に貢献していく。

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