清水建設、エスシー・マシナリ、IHI運搬機械、国内最大・最高性能の陸上風車建設用移動式タワークレーンが完成

・最大揚程152m、定格荷重145tの揚重性能で風車の高層・大型化に対応・

 清水建設は12月4日、㈱エスシー・マシーナリIHI運搬機械と共同で開発を進めてきた陸上風車建設用移動式タワークレーン「S-Movable Towercrane」が完成したと発表した。3社は現在、広島県呉市のジャパンマリンユナイテッドの呉事業所新宮地区において、自走式多軸台車(ドーリー)を活用したクレーン移設試験など、2024年6月に予定する実工事への適用に向けた準備を進めている。

 3社が共同開発した「S-Movable Towercrane」は、十字型の架台の上で自立する陸上風車建設用の移動式タワークレーンで、風車の建設後、クライミングダウンを行い架台の脚部を取り外すだけで、移動用の自走式多軸台車に搭載することができる。

 作業性能は、最大揚程152m、定格荷重145tと自立式タワークレーンでは国内最大・最高性能を誇り、5~6MWクラスの大型陸上風車の建設に対応できる。

 カーボンニュートラル実現に向けた社会機運が高まる中、再生可能エネルギー由来の電源として風力発電施設の建設需要が高まっている。累積容量が4.8GW(2022年末時点)に達する陸上風力発電施設については、新設需要のみならず、施設の耐用年数経過に伴うリプレース需要も多く、建設市場は5兆円規模と見込まれている。

 他方、事業性の観点から陸上風力発電施設の大規模化が進む中、陸上風車の単基出力も増大傾向にある。今後、高さ120m超・5~6MWクラスの大型風車の市場投入が予想されますが、現行の陸上風車建設用クレーン設備で対応できるのは、高さ100m・4MWクラスの中型風車が限界だった。そこで3社は、陸上風車の高層化・大型化に対応できるクレーン設備として「S-Movable Towercrane」の開発・製作に着手した。

 国内最大・最高性能の作業性能のみならず、陸上風力発電施設の建設で不可欠となるクレーンの移設を柔軟に行えることも「S-Movable Towercrane」の大きな利点。クレーン部材の解体を架台の脚部だけに留めて次の建設ヤードへ短期間で移設できるS-Movable Towercraneを活用すれば、サイクル工程を5日程度短縮でき、発電事業者は工期・費用の面で大きなメリットを享受できる。

 清水建設は、洋上風力分野でも、世界最高性能の自航式SEP船「BLUE WIND」を自社保有し、洋上風力発電施設の風車建設に投入している。陸上風力分野では、「S-Movable Towercrane」を武器に、風力発電施設建設のトップランナーを目指す。

<諸元>
最大作業半径:46m
定格荷重:145t(作業半径12.5m)
揚程:152m
電気容量:600KVA

 ニュースリリース