食研、豊橋市に新工場建設し現工場を移転、約55億円投資

 ㈱食研(千葉県千葉市)は10月24日、愛知県豊橋市三弥地区に工場を新設し、現在の豊橋工場を移転すると発表した。これにより生産能力は1万トンになる。「簡単に調理できる(簡便性の高い)冷凍食品」の需要が高まる中、生産量を増やすことでニーズに応えていく。また新工場に導入する急速冷凍設備には、温室効果ガスの抑制効果がある「自然冷媒」を取り入れ、LED照明による電気消費削減などの環境負荷に配慮したカーボンニュートラルに貢献できる工場を目指す。

■2019年からの4年間で売上が25%増

 冷凍食品の需要が拡大中、今年(2023年)で創業60周年を迎えた食研は、主力商品の冷凍とんかつをはじめとした冷凍食品の製造・販売を行う企業。創業期から引き継いでいる食品機能製剤のノウハウを自社製品にも取り入れることで品質を高めており、電子レンジで温めるだけの簡単調理でも、衣がサクサクとした食感やジューシーな肉感が受けている。

 近年、共働き世帯の増加やコロナ禍で在宅時間が伸びたことから、冷凍食品の需要が拡大している。総務省の家計調査によると、1世帯あたりの冷凍食品への支出金額は2017年の7,426円に対し、2022年には10,106円と、急激に増加している。食研でも売上が直近4年間で25%増えている。

■敷地面積は現工場の約5.8倍 生産能力は約2倍

 食研は、愛知県豊橋市にある現・豊橋工場を移転し、三弥地区に新設することになった。生産能力は年間5,000トンで、これまでの約2倍となる予定。製造ラインは「加熱済み品(※1)の専用ライン」と、「加熱済み品と未加熱品(※2)の切り替え可能なハイブリッドラインの2ライン体制となる。

(※1:「加熱済品」=電子レンジで温めるだけで食べられる冷凍食品)

(※2:「未加熱品」=家庭および外食店舗などで調理する冷凍食品)

■SDGsへの取り組み
 新工場に導入する急速冷凍設備の冷媒には「自然冷媒」を採用した。これまで「冷媒」にはフロンが使われていたが、強力な温室効果ガスであるフロンは地球温暖化に繋がると懸念されていた。一方で「自然冷媒」には二酸化炭素やアンモニアが使われるため、温暖化への影響をフロンの1万分の1に抑えられる。LED照明も導入することで電気消費量を削減、CO2排出量軽減に貢献する。

 また、新工場は国道1号線と23号線という幹線道路の近くにあり、輸送面でも効率化を図ることができ、東の千葉工場と、今回新設する西の豊橋工場の東西2拠点で、適地生産(※3)の実現を目指す。(※3:適地生産=納品輸送において、近い工場で製造し、物流の効率化を図る)

 地球に優しく、サステナブルな工場を目指していく。

<新工場の概要>
正式所在地:愛知県豊橋市細谷町北丸山1-4
敷地面積:6,124坪(20,209㎡)
延床面積:2,206坪(7,280 ㎡)
竣工日:2023年12月1日(金)
設備投資額:55億円(土地・建物・設備)
操業開始時期:2023年12月中旬
主な製造ライン:カツ類、カツサンド、食品機能製剤
生産能力:約5,000t(年間)

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