コマツが10月27日に発表した2024年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、売上高は1兆8,230億円(前年同期比12.6%増加)となった。建設機械・車両部門では、中南米、欧州、アジアを中心に一般建機の需要が減少したものの、 北米においては堅調に推移した。また、鉱山機械の需要も引き続き好調に推移した。鉱山機械を中心とした機械の高稼働による部品・サービス売上げの増加や、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、自動車産業向け大型プレスの販売が増加したため、売上高は前年同期を上回った。利益については、固定費や資材価格上昇の影響はあるものの、各地域での販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は2,970億円(前年同期比40.3%増加)となった。売上高営業利益率は 前年同期を3.2ポイント上回る16.3%、税引前四半期純利益は2,880億円(前年同期比26.5%増加)、株主に帰属する四半期純利益は2,055億円(前年同期比26.4%増加)となった。 2023年9月には、コマツレポート(統合報告書)において、収益向上とESG課題解決の好循環による 持続的な成長を着実に遂行するために策定したKPIの進捗状況などを開示した。
コマツは、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼 ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課 題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左 右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。
■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は1兆7,076億円(前年同期比13.4%増加)、セグメント利益は 2,808億円(前年同期比49.7%増加)となった。
中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプ トラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、2023年9月末時点の総稼働台数は累計673台となった。建設・鉱山機械のカーボンニュートラル化については、電動化建機の市場導入元年とし て、リチウムイオンバッテリーを搭載した3トンクラスの電動ミニショベル「PC33E-6」を欧州市場 へ導入開始し、電動マイクロショベル「PC05E-1」や20トンクラスの電動ショベル 「PC200LCE/210LCE-11」の市場導入に向けても取り組んだ。また、電動化建機以外の分野にお いてもカーボンニュートラル実現に向けて研究開発を進めており、水素活用の一環として、燃料に 水素を最大50%混合した発電を可能とする水素混焼発電機の製品化に取り組み、9月に小山工場へ 初号機を導入した。自動化・自律化・遠隔操作化については、ガイダンス・セミオート機能搭 載のコンテナ用フォークリフトの開発を進めた。
「稼ぐ力の最大化」では、都市土木作業に特化して仕様を最適化した油圧ショベルCEシリーズ 「PC200-10M0」の導入地域拡大のため、ブラジル現地工場での量産開始に向けて取り組んだ。
「レジリエントな企業体質の構築」では、クロスソースの重要な生産拠点として品質管理(TQM) 活動による体制強化に取り組んできたバンコックコマツ(株)が「2023年度デミング賞」を受賞した。
■地域別の概況
<日本> 日本では、新車需要が前年同期並みに推移しており、販売価格の改善などの影響もあり、売上高 は前年同期を上回った。
<米州> 北米では、一般建機の需要は、金利上昇の影響で住宅建設向けの減少傾向があるものの、レンタル、インフラ、エネルギー関連向けが引き続き堅調に推移した。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。中南米では、経済の先行き不透明感などにより一般建機の需要が減少したものの、鉱山機械の需要は好調に推移した。鉱山機械の部品・サービス売上げの増加や販売価格の改善の影響もあ り、売上高は前年同期を上回った。
<欧州・CIS> 欧州では、金利上昇の影響で、主要市場の一つである英国やイタリアなどを中心に一般建機の需 要が減少したものの、円安や販売価格の改善の影響により、売上高は前年同期を上回った。 CISでは、ウクライ中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞により、需要が低迷したことから、 売上高は前年中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞により、需要が低迷したことから、 売上高は前年
<アジア・オセアニア> アジアでは、インドネシア、タイ、ベトナムなどで、公共事業予算執行遅れや経済の先行き不透明感により、一般建機の需要が減少したものの、インドネシアにおける鉱山機械需要が引き続き堅調に推移した。円安の影響もあったことから、売上高は前年同期を上回った。
オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が前年同期並みに推移したことに加え、部品・サ ービス売上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトや、トルコの復興需要などによ り、一般建機の需要が堅調に推移したことから、売上高は前年同期を上回った。
アフリカでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移したことに加え、部品・サービス売上 げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、金利上昇や円安の影響により、売上高は475億円(前年同期比 14.5%増加)となった。セグメント利益は、前年同期に北米で計上した貸倒引当金の戻入益が なくなったことなどもあり、130億円(前年同期比12.5%減少)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械において、大型プレスの 販売が増加したため、売上高は850億円(前年同期比1.6%増加)となった。セグメント利益 は、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業において、世界的な半導体需要の減少による影響を 受けたことなどにより、44億円(前年同期比59.8%減少)となった。
ギガフォトン㈱では、2022年7月より着手していた生産棟の新社屋が竣工し、将来的なエキ シマレーザー関連事業の需要増加に対応するため、生産能力の2.5倍増強(2020年度比)を図った。
■2024年3月期(2023年度)の見通し
上期は、建設機械・車両部門において、北米、中南米を中心に売上げが増加したことに加え、販売価格改善や円安の影響もあり、増収増益となった。下期は、世界経済の先行き不透明感によ る景気後退が懸念され、一般建機の需要が減速することが想定される一方で、鉱山機械の需要は引き続き堅調に推移することが見込まれる。
また、為替が想定より円安に推移していることから、業績予想の前提となる為替レートの見直し (下期平均の為替レートを1米ドル=135円、1ユーロ=148円、1豪ドル=88円に変更)を行い、 2023年4月28日に公表した通期連結業績予想を上回る業績が想定されるため、売上高及び利益を下記のとおり修正した。
売上高3兆6,600億円(前期比3.3%増)、営業利益5,480億円(同11.7%増)、税引前当期純利益5,090億円(同6.8%増)、株主に帰属する当期純利益3,400億円(同4.2%増)。
通期平均の為替レートは、1米ドル=137.7円、1ユーロ=150.3円、1豪ドル=90.3円。(前回通期平均の為替レート見通し1米ドル=125.0円、1ユーロ=133.0円、1豪ドル=83.0 円)
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