日立建機、23年4~9月期売上収益は16.4%増の6,741億円、過去最高を記録、通期予想は1兆3,600億円(6.3%増)に上方修正

 日立建機が10月26日に発表した2024年3月期第2四半期累計(4〜9月)の売上収益は過去最高の6,741億円(対前年同期増減率16.4%)と第1四半期に続き大幅な増収となった。利益項目についても、資材費や物流費を中心としたコスト増加の影響があったものの、継続的な原価低減活動 や販売価格引き上げを推進し、売上収益の増加に為替影響等も加わった結果、調整後営業利益は、売上収益同様、第2四半期累計として過去最高の823億7千9百万円(同58.2%)と大幅な増益となった。これに伴い親会社株主に帰属する四半期利益についても、同じく過去最高の575億円(同61.2%)となった。

 日立建機2024年3月期第2四半期データ

 日立建機グループは、2024年3月期より2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」を新たに策定し、①顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供、②バリューチェー ン事業の拡充、③米州事業の拡大、④人・企業力の強化、の4つの経営戦略を掲げて、持続的な成長と企業価値 の向上に取り組んでいる。

 第2四半期連結累計期間における油圧ショベル需要は、中国において前年同期比で大幅な減少が続いたほか、アジア、西欧などでも減速感が出始めたものの、依然として北米では堅調に推移した。

 マイニング需要は、高水準の資源価格を背景とした顧客の高い投資意欲や、高い稼働率に伴うオーバーホール 需要および定期メンテナンス需要等が継続し、全体的に堅調に推移した。

 このような環境下、期初から生産活動が高水準に推移し、2022年3月から本格的な独自展開を進めている米州事業が前年同期比で大幅に増加したほか、これまで注力してきたマイニング事業およびバリューチェーン事業も 大きく伸長した。これらの結果に為替影響等も加わった。

■セグメントの業績

①建設機械ビジネス

 第2四半期連結累計期間における売上収益は、6,020億4千3百万円(同15.9%)、調整後営業利益は743 億8百万円(同56.6%)と大幅な増収増益になった。

 米州における独自事業が前年度から引き続き堅調に推移しているほか、コンストラクション・マイニングの新車販売だけでなく部品サービスを中心としたバリューチェーン事業も好調に推移し、前年同期比で大きく伸長した。

②スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス

 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子 会社で構成されている。

 第2四半期連結累計期間における売上収益は、マイニングの市場環境が堅調に推移した結果、746億7千2 百万円(同19.3%)、調整後営業利益も、売上収益の増加と為替影響、これまで取り組んできた事業構造改革の結果、 高収益事業が伸長したこと等により、80億7千1百万円(同75.2%)と大幅な増収増益になった。

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

(注)2024年3月期より、「ソリューションビジネス」としていた報告セグメント名称を「スペシャライズ ド・パーツ・サービスビジネス」に変更している。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント 情報に与える影響はない。

■今後の見通し

 2024年3月期通期の油圧ショベル需要は、中国では市況の低迷が続くと見込まれるほか、アジアや欧州などでも減速の兆しが見られる。一方で米国政府によるインフラ投資効果等が期待される北米では、引き続き堅調な需要を見込んでいる。これらを勘案して、世界全体の油圧ショベル需要は約21.3万台(前年同期比△13%) と、前回7月公表時点の通期の見通しから6%下方修正した。

 また、マイニング製品の通期の需要については、一般炭価格が落ち着き、中小鉱山の投資意欲の低下が見込ま れることなどから、小型のマイニングショベルでは需要の減少を見込む。しかしながら、日立建機のマイニング 事業の中心となる超大型のマイニング機械は、コロナ禍後の経済刺激策を目的としたインフラ投資の高まりや、 高水準を維持する資源価格等を背景に、グローバル全体の需要が底堅く、前年度並みの高い水準になると見込んでいる。

 以上のように、市場環境は一部地域・製品での需要減を想定するものの、マイニングを中心に全体としては概ね高い水準を維持すると見込んでいる。こうした市場環境に加え、継続的に原価低減活動および販売価格の引き上げに取り組み、注力する米州事業やマイニング事業、バリューチェーン事業を中心に業績は堅調に推移すると見込んでいる。ひっ迫が続く海上輸送の状況、依然として高水準が続く資材費・物流費などのリスクを慎重に考慮しながらも、第2四半期連結累計期間の実績を踏まえ、4月公表時点で過去最高とした2024年3月期連結業績予想(2023年4月~2024年3月)を下記のとおり、さらに上方修正した。

 2024年3月期(23年度)見通しは、売上高1兆3,600億円(前期比6.3%増)、調整後営業利益1,600 億円(同17.9%増)、税引前当期利益1,510億円(同34.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益980億円(同39.7%増)。

 なお、業績見通しの前提となる当 第3四半期以降の為替レートについても、実勢を踏まえ米ドル135円、ユーロ145円、人民元18.4円、豪ドル86円 に修正した。

 日立建機グループでは、「お客さまの期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに 新たな価値を創造し続けます」という新たに策定した独自のミッションの実現を通じ、今後も、「豊かな大地、 豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」という企業ビジョンの実現に真摯に取り組んでいく。

 第2四半期決算情報(2023年10月26日