・23年度売上予想は600億円、営業利益予想は12億円
㈱加藤製作所が5月12日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、サプライチェーン混乱に伴う生産面への影響により、売上高は575億3千万円(前年同期比90.5%)と前期比60億1千8百万円の減収となったが、「収益性改善・強化」の各施策が奏功したことに加え、外貨建て輸出製品の為替差益等を含め、営業利益は12億5千8百万円(前年同期は営業損失72億2千2百万円)と 前期比84億8千1百万円改善し、経常利益は18億6千5百万円(前年同期は経常損失69億2千9百万円)と前期比87億9千4 百万円の改善となった。また、常陸那珂工場(仮称)の売却に伴う特別利益を加えた親会社株主に帰属する当期純利益は24億3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失95億7千5百万円)と前期比119億7千8百万円の 改善となり、損益面については、事業構造改善費用を計上した前期から大幅に改善した。
■経営成績の概況
2022年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進み景気は持ち直しの動きがみられた。 一方、世界経済は、新型コロナウイルス感染症回復過程による需要急増や、ロシア・ウクライナ侵攻の長期化等によりインフレが進行、欧米を中心とした金融引き締め政策により為替市場は大幅に変動した。
また、中国経済においては、これまで堅持していたゼロコロナ政策を急激に政策転換したものの景気回復には至らず、先行き不透明な状況は継続している。
このような状況下、加藤製作所は2022年度を初年度とする中期経営計画の基本方針にて掲げた「収益性改善・強化」「財務体質の改善」「将来の基盤構築」に取り組んできた。
■セグメント別の経営成績
①日本
国内の建設用クレーンの売上高は、緩やかな需要回復基調により、315億2千1百万円(前年同期比102.0%)となった。海外向け建設用クレーンは、サプライチェーン混乱の影響を受け、売上高は37億5百万円(前年同期比 73.0%)となった。
国内向け油圧ショベル等の売上高は、サプライチェーン混乱の影響を受け、85億3千3百万円(前年同期比74.4 %)となった。海外向け油圧ショベル等は、欧米向けが堅調に推移する一方、その他の地域が伸び悩み、売上 高は63億5百万円(前年同期比92.7%)となった。
以上の結果、日本の売上高は509億7千4百万円(前年同期比93.7%)、セグメント利益は18億4千5百万円(前年同 期はセグメント損失23億3百万円)となった。
②中国
中国は、インフラ投資鈍化や地場メーカーの販売攻勢により、厳しい販売環境にて推移した。 売上高は29億6千8百万円(前年同期比49.4%)となり、セグメント損失は9億7千2百万円(前年同期はセグメント損失51億6千9百万円)となった。
③その他
その他の地域においては、欧州等の一部地域において旺盛な需要はあったものの、他地域が伸び悩んだ。 売上高は55億7千2百万円(前年同期比95.7%)となり、セグメント利益は4千9百万円(前年同期はセグメント損失1億3千8百万円)となった。
■主要品目別売上高の状況
①建設用クレーン
国内売上高は315億2千1百万円(前年同期比102.0%)とほぼ横ばいの推移になった。新機種投入効果もあり、 大型ラフターが増加した。海外売上高は、サプライチェーン混乱による供給制約の中、国内受注残を優 先したため、前年度好調だったアジア向けが減少し36億6千9百万円(前年同期比58.5%)となった。これにより、 建設用クレーンの売上高は351億9千万円(前年同期比94.7%)となった。
②油圧ショベル等
国内売上高は、サプライチェーン混乱の影響があり、85億3千3百万円(前年同期比74.4%)となった。海外売上高は、中国において景気後退により減少したものの、北米・欧州での需要が増加したため、128億9千8百万円 (前年同期比93.3%)となった。よって、油圧ショベル等の売上高は214億3千1百万円(前年同期比84.7%)となった。
③その他
その他の売上高は9億8百万円(前年同期比82.8%)となった。
■今後の見通し
新型コロナウィルス感染症回復過程による需要回復や各種政策効果もあって、経済環境は好転していくことが期待されるが、他方で、ロシア・ウクライナ侵攻長期化やインフレ進行に伴う欧米の金融引き締め政策による景気 後退懸念が、日本経済に伝搬し下押しする懸念がある。
そうした中、同社グループは、中期経営計画を策定し、2023年3月期よりスタートしている。中期経営計画 2年目となる2024年3月期の連結業績は、継続して中期経営計画で掲げた施策「収益性改善・強化」「財務体質の 改善」「将来の基盤構築」に取り組むが、主力製品における一部主要部品供給制限の可能性や為替差益剥落の可能性を考慮し、売上高は600億円、営業利益は2023年3月期と同等の12億円、経常利益は9億円、親会社株主に帰 属する当期純利益は連結子会社KATOWORKS(THAILAND)CO.,LTD.における固定資産売却による特別利益を踏まえ、20 億円を見通している。
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