コマツとEARTHBRAIN、建設機械向け遠隔操作システムを開発、顧客への提供を開始

・安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場の実現を加速

 コマツとその子会社である㈱EARTHBRAINは4月14日、建設機械向けの遠隔操作システムを共同で開発し、3月より顧客への提供を開始したと発表した。2023年上期を目途に量産に向けた現場での検証を完了し、段階的に市場導入を進め、顧客の現場の安全性・生産性の向上に貢献していく。

 国内の建設現場では人手不足やオペレーターの高齢化などが深刻化しており、建設機械の遠隔操作に対するニーズは年々高まっている。コマツは従前より、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場の実現を目指し、遠隔操作システムの開発に取り組んでおり、2020年には5Gを用いた建設・鉱山機械の遠隔操作に関する実証実験を国内で初めて成功させた。

 今回提供を開始したシステムは、従前開発したコンセプトを着実に量産化するため、90年代に雲仙普賢岳の復旧工事で活躍するなど実績のあるコマツのラジコン仕様車をベースに開発した。遠隔操作の信号をラジコン操作用に変換し、信号を伝えるためのソフトウェアとコントローラーを新規開発して組み合わせることで、品質と信頼性の高い遠隔操作システムとして商品化を目指している。

 また、EARTHBRAINが開発した遠隔操作用コックピットでは、建設機械から送られた高精細映像により、前後左右や作業機を確認しながら、実際の運転席同様に、臨場感のある遠隔操作を行うことができる。遠隔操作に必要な現場の映像や制御信号の送受信には、NTTコミュニケーションズ株式会社の協力のもと、高速・大容量・低遅延を特長とした5Gを利用しており、建設現場と遠隔操作拠点間を5Gおよびクラウド基盤(「docomo MEC™」※1 、「MECダイレクト™」※2 )で接続する。

 今後は、同システムを既に導入しているオオノ開發(愛媛県松山市)の協力のもと、量産に向けて技術面・安全面での最終検証を進め、顧客毎、現場毎に異なる遠隔操作ニーズに柔軟に対応していく予定。

 なお、システムはSmart Construction FleetおよびSmart Construction Retrofitとの連携も可能となっており、これらのサービスと連携した場合には、ダンプへの積み込み作業の作業効率最大化や、建機操作におけるさらなる安全性向上が期待できる。

 今後コマツとEARTHBRAINは、今年度内のシステムの量産に向けて、現場での活用における機能の改善やさらなるシステムの高度化に取り組むことにより、未来の現場での新たな価値創造を目指していく。

※1 「docomo MEC」は、5G時代に求められるMEC(Multi‐access Edge Computing)の特長である、低遅延、高セキュリティなどの機能を持つドコモのクラウドサービス。
※2 「MEC ダイレクト」は、ドコモが提供する接続端末とクラウド基盤を直結して通信経路を最適化することで、5Gによる低遅延・高セキュリティ通信を実現するサービス。
*「docomo MEC」「MECダイレクト」は株式会社NTTドコモの商標。

 ニュースリリース
 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。