㈱タダノが2月14日に発表した2022年12月期(2022年4〜12月)連結業績によると、売上高は1,929億3千2百万円、営業利益は71億9千1百万円、経常利益は65億4千万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、22億1千万円となった。
売上高のうち日本向け売上高は、633億3千1百万円。海外向け売上高は、1,296億円となり、海外売上高比率は67.2%となつた。
タダノグループは、今期より決算期を3月31日から12月31日に変更し、決算期を統一した。従って、2022年度は決算期変更の経過期間となり、タダノ及び3月決算であった連結対象子会社は9か月間(2022年4~12月)、12月決算の連結対象子会社は12か月間(2022年1~12月)を連結対象期間とした変則決算。このため、対前期増減率を記載していない。
2022年12月期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進 んだことにより、持ち直しの動きが見られた。海外においても、経済活動の再開が段階的に進み、景気は緩やか に回復した。一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中国のロックダウン、急激なインフレ・円安進行などにより、原材料価格の高騰や調達・物流環境の悪化が進んだ。
タダノの関連業界は、調達環境の悪化が生産に大きな影響を及ぼし、出荷遅れが続いた。日本では、大型公共工事 を中心に比較的順調な稼働が続いたが、生産・出荷の遅れにより需要は減少した。海外においては、緩やか な景気回復を背景に、全ての地域で需要は増加傾向となった。
このような経営環境の中、タダノグループは、調達環境悪化の影響を最小限に抑えるよう努めるとともに、販売価格 の見直しや諸経費節減等に取り組んだ。また、電動化などの環境対応をはじめとした新製品開発やDX推進など にも注力した。
なお、、2018年1月19日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告について、2021年1月、米国当 局(環境保護庁・司法省)からタダノグループによる違反とそれに伴う民事制裁金(Civil Penalty)4,050万USドル及 びその他の合意条件について提案を受け、2021年3月期に4,050万USドルを引当計上した。当局との協議を継 続する中、追加費用が発生する見込みが高くなったため、2022年3月期に1,176万USドルを追加で引当計上した。なお、当局との協議は継続中であり、最終的に確定した段階において、改めて発表する。
■セグメント別の状況
(セグメント別とは、タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・ 営業利益であり、仕向地別売上高とは異なる。 )
1)日本(4月~12月)
調達環境の悪化による生産の遅れやトラック登録台数の減少等の影響により、建設用クレーン・車両搭載型クレーンの需要は減少、高所作業車の需要は横ばいとなった。この結果、売上高は1,054億3千6百万円、営業 利益は97億7千5百万円となった。
2)欧州(1月~12月)
建設用クレーンの需要は増加したが、調達環境の悪化による生産の遅れ等の影響もあり、売上高は681億1千8百万円、営業利益は99億4千9百万円の損失となった。
3)米州(1月~12月)
建設用クレーンの需要が順調に回復する中、売上高は需要の伸びを上回る増加となり、621億5千1百万円、営業利益は50億4千8百万円となった。
4)その他(1月~12月)
全ての地域で建設用クレーンの需要が拡大する中、拡販に注力した結果、売上高は217億5千7百万円、営業利益は19億3千3百万円となった。
■主要品目別の状況
(日本向け売上:4~12月、海外向け売上:主に1~12月)
1)建設用クレーン
需要は、日本では減少、海外では全ての地域で増加し、日本向け売上高は、273億3千9百万円、海外向け売上 高は、米州・中東を中心に増加し、1,014億1千1百万円となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は1,287億5千1百万円となった。
2)車両搭載型クレーン
日本向け売上高は、トラック登録台数の減少が車両搭載型クレーンの販売にも影響し、103億2千4百万円となった。海外向け売上高は、19億1千1百万円となった。 この結果、車両搭載型クレーンの売上高は122億3千6百万円となった。
3)高所作業車
高所作業車は、トラックシャシの供給制約の影響もあり、需要は横ばいで推移し、売上高は121億6千万円となった。
4)その他 部品、修理、中古車等のその他の売上高は、397億8千3百万円となった。
■次期の見通し
今後の経済見通しについては、コロナ禍後の各種政策等の効果により、持ち直しの動きが続くことが期待される。その一方、ロシア・ウクライナ問題や原材料・エネルギー価格をはじめとするコスト上昇、調達・物 流環境の制約、各国の金融政策等、不透明な状況が継続することが想定される。
タダノグループを取り巻く市場環境については、日本では、インフラ投資や国土強靭化に伴う災害対策などの大型工事を中心に建設用クレーンの高稼働が見込まれている。海外においても、原油をはじめとした資源価格上昇に伴うプロジェクトの稼働本格化に加え、経済回復に向けた公共投資、クリーンエネルギー関連工事等により、需要回復の動きが継続する見込み。
一方、不安定な調達・物流環境が生産・販売に与える影響や、更なるコスト上昇等が懸念されるが、生産リ ードタイムの短縮や製品価格の見直し等で利益確保に努める。
また、将来の持続的成長に向け、電動化などの環境対応をはじめとした新製品開発やDX推進などの投資も併せて進めていく計画としている。
現時点における業績予想は、次のとおり。
売上高2,700億円、営業利益120億円、経常利益105億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円。
為替レートは、125円/米ドル、140円/ユーロを前提としている。
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