ナブテスコと東京計器は8月4日、船舶のさらなる燃費削減と省 人力化の実現に向けたシステム製品の共同研究開発を開始すると発表した。
地球温暖化防止の一環として CO2 排出削減は世界的な課題となっている。船舶業界におい ても 2023 年から運用中の大型外航船に対し、CO2 排出規制「既存船燃費規制(EEXI)・燃費実 績(CII)格付制度」が開始される。また近年は、一層の海上安全の確保、航行中の労働環境 改善、そして日本の海事産業の競争力向上のために、船舶の自律運航技術実用化への期待が高まっている。
ナブテスコは舶用エンジン遠隔制御システムで培った推進器制御技術を提供し、また、東京計 器はオートパイロットやジャイロコンパスで培った舵制御技術を提供。それらを共同研究開発で 融合させることで、船舶の状態や船外環境の解析による舵と主機の最適制御を実現し、船舶の燃 費削減と安全航行および省人力化に貢献していく。
今後、自律運航技術の要素開発を推進するとともに、システム製品のマーケティング活動を展開し、船主や乗組員のニーズに応える機能を持つシステムとして、2025 年の実用化を目指す。
またシステムの効果を確認する目的で、すでに第一中央汽船のグループ会社である 第一中央内航の協力のもと、セメント運搬船「北友丸」(5,750GT)での実証実験 を進めている。
ナブテスコと東京計器は、両社の持つ制御技術を通じて、環境負荷低減や船舶航行の安全性向 上並びに将来の自律運航の実現に向けた開発を継続し、社会課題の解決に貢献していく。
▽ナブテスコ株式会社について
2003 年に帝人製機株式会社と株式会社ナブコの統合により誕生。独創的なモーションコン トロール技術で、生産現場の自動化や陸海空の安全・安心・快適な移動を支える機械コンポー ネントメーカー。
1950 年から舶用機器を手がける。現在の主力製品である舶用主機の遠隔制御システムでは 日本国内で約 50%、世界シェアで約 40%の市場シェアを持ち、累計出荷台数は 5 万台を超え る。現在ではこのほかにサイドスラスタやフィンスタビライザなどの補助推進器制御装置や、 電子制御ガバナシステム、電子制御エンジン向けに燃料の油圧バルブなどを供給している。
舶用機器事業の拠点として、神戸市西区の西神工場に加え、韓国:釜山、中国:上海に生産 工場を有するほか、シンガポール・オランダにもサービス拠点を持つ。
設立:2003 年 9 月 29 日
所在地:東京都千代田区平河町 2-7-9
代表者:代表取締役社長 木村 和正
▽東京計器株式会社について
国内初の計器メーカーとして 1896 年に創業。現在は民間・官公庁両方の事業で、船舶港湾、 産業機械、建設機械、上下水道、防衛、鉄道などの幅広い社会インフラを支える BtoB 企業。
創業当初から航海計器の製造に携わり、現在の主力製品であるジャイロコンパスおよびオー トパイロットは日本国内で 80%以上、世界で 60%以上のシェアを持つ。自動運航船や風力推 進船にも当社の最新制御技術が搭載されている。
舶用機器事業の拠点として、蒲田本社、矢板工場、神戸営業所、今治営業所に加え、米国、 中国にサービス拠点を持つ。
創立:1896 年 5 月 1 日
所在地:東京都大田区南蒲田 2-16-46
代表者:代表取締役 社長執行役員 安藤 毅
▽第一中央内航株式会社について
第一中央汽船株式会社の 100%子会社で、内航セメント船等の配乗、保船管理を中心に、外 航セメント船の船舶管理を行う。