三菱重工グループ 、荷役作業を自動化するソリューション開発、実証試験を実施

・ΣSynXによる倉庫物流の知能化・自動化プロジェクトが始動

 三菱重工業三菱ロジスネクストは1月20日、三菱重工が研究開発を進める「ΣSynX(シグマシンクス)」(注1)のコア技術を適用して物流を知能化・自動化するプロジェクトに着手したと発表した。今後、倉庫内でのピッキング作業や入出庫・入出荷作業を自動化するソリューションを順次開発し、2020年にオープンした三菱重工運営の「Yokohama Hardtech Hub」(以下、YHH)で実証試験を行う。現在、その第一弾として飲料ピッキングの自動化ソリューションを開発中であり、2022年度にYHHでの実証を開始する。

 現在開発中のピッキングソリューションは飲料倉庫や冷凍・冷蔵倉庫を想定し、AGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)やAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、パレタイザーを連携させることによって、多数の作業者が従事するピッキング作業を自動化するソリューション。複数のAGFやAGVを効率的に差配する群制御(注2)などの行動計画技術、ピッキング計画を再構築することによりスループットを向上する最適化技術などのΣSynXコア技術によって物流の知能化も実現し、社会問題となりつつある物流オペレーター不足の解決に貢献していく。同ソリューションは、現在主流になっているマルチテナント倉庫への導入を想定し、床面工事などの大規模工事を不要とした三菱ロジスネクストのレーザーAGF(注3)といった機器・システムで構成することで、メーカー・3PLにフレキシブルな物流ソリューションを提供する。

 YHHでの実証試験では、複数のAGFとAGVが連携して在庫棚から飲料パレットをパレタイザーに配送し、パレタイザーがピッキングリストに従って目的の飲料を積み付けていく一連のソリューションを実施。現地に顧客を招き、オートメーション化された荷役作業を体感できる。また、YHHには実証エリアのほかに先行開発エリアも設置。兵庫県高砂市の総合研究所内でΣSynXを適用した新AGFコンセプト機「SynX-Vehicle」を開発している物流実験センターと連携し、群制御・人との協調・遠隔監視などといったΣSynXの技術開発を進めていく。

 開発されたΣSynXコア技術は今後、SynX-Vehicleでの検証を経て、三菱ロジスネクストのレーザーAGFをはじめとする三菱重工グループ製品全体に順次適用されていく予定。三菱重工と三菱ロジスネクストは、ΣSynXと社内外の製品・技術を組み合わせた入出庫ソリューション、トラック入出荷ソリューションなどを開発し、物流業界の課題解決に向けてタイムリーに提供していく。

注1さまざまな機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームであり、機械システムの知能化により最適運⽤を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの。

注2複数の自律移動体が連携して動作することにより、与えられた業務を最短で処理することを指す。

注3レーザースキャナーで反射板をスキャンし、車両の現在地を認識しながら走行するAGF。

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