日精エー・エス・ビー機械(ASB)、21年9月期売上は31.7%増の358億円、今期予想は16.4%減の300億円

 日精エー・エス・ビー機械(ASB)が11月10日に発表した2021年9月期(2020年10月~21年9月)の売上高は、豊富な受注残高を順調に消化した結果、35,890百万円(前期比131.7%)となり、過去最高を記録する大幅な増収となった。利益面については、大幅な増収が寄与し、売上総利益は16,577百万円(同134.3%)、営業利益は8,735百万円(同180.1%)、経常利益は9,576百万円(同205.1%)とそれぞれ過去最高となった。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益も6,680百万円(同157.6%)と過去最高となった。

 受注高は32,959百万円(前期比96.2%)、当期末の受注残高は12,451百万円(前期末比80.5%)とそれぞれ減少した。安全で衛生的なプラスチック容器の需要の高まりを受け、全世界からの引き合いは堅調に推移してきたものの、直近ではコロナ変異種の拡大による経済・生産活動の停止等の影響を受けた。

 2021年9月期の世界経済は、新型コロナウイルスに起因する非常に不確実な状況が継続した。欧米諸国を中心として、ワクチン接種率の増加により感染状況、及び景況感に改善も見られ、年後半にかけて景気回復が見込まれる一方、一部の新興国では変異株の感染が拡大し、更には他地域へも影響を及ぼした。世界全体の経済成長率は今後伸長することが期待されるものの、依然として先行き不透明で予断を許さない状況である。我が国においても、ワクチン接種の進展に伴い、景気の緩やかな回復が期待されるものの、感染対策継続と経済活動正常化の両立が継続した課題であり、今後も難しい舵取りが予想される。

 一方で、同社グループの属するストレッチブロー成形機業界においては、大規模展示会の中止や、顧客への訪問機会の減少といった一時的なマイナス影響はあるものの、コロナ禍による生活様式の変化を受け、安全で衛生的なプラスチック容器の需要は高まっており、食料・飲料及び日用品などの生活必需品を中心とした容器需要は底堅く推移した。

 日精ASB2021年9月期データ

■セグメント別状況

イ.米州

 消毒液や生活必需品等の容器需要の高まりを受け、北米を中心に堅調な引き合いが続き、受注の消化に努めた結果、地域全体の売上高は11,871百万円(前期比146.3%)と増収となった。セグメント利益も、増収が寄与し1,966百万円(同156.4%)と増益となった。

ロ.欧州

 欧州各国では、コロナ禍への対応が地域により異なり、一部の地域では引き合いに不透明感があるものの、中小型機を中心に出荷を進めた結果、地域全体の売上高は7,416百万円(前期比128.5%)と増収となった。セグメント利益も、増収効果に加え、展示会費用の減少等により980百万円(同129.0%)と増益となった。

ハ.南・西アジア

 一部新興国において変異株感染が拡大し、経済への影響を与えているものの、インドを中心に中小型機の引き合いが堅調に推移し、受注の消化に努めた結果、地域全体の売上高は10,585百万円(前期比140.0%)と増収となった。セグメント利益も増収効果により1,652百万円(同280.6%)と増益となった。

ニ.東アジア

 一部の地域では引き合いに不透明感があるものの、国内を中心に出荷を進めた結果、地域全体の売上高は6,016百万円(前期比103.6%)と増収となった。セグメント利益は、増収の効果、及び展示会費用の減少等により7,688百万円(同191.8%)と増益となった。

■2022年9月期の見通し

 2022年9月期(2021年10月1日~2022年9月30日)は、コロナワクチン接種の進捗に伴い、世界経済は緩やかに回復することが予測されるものの、感染再拡大の懸念や、資源高及びサプライチェーンの混乱等による景気の下押しリスクは残り、引き続き先行き不透明な状況が予想される。一方、ストレッチブロー成形機業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、安全で衛生的なプラスチック容器の需要は底堅く推移すると推測するが、短期的には、コロナ禍での経済活動縮小等の影響を受け、一部顧客に設備投資意欲の減退の動きが見られる。従って、次期においては、売上高及び各利益項目について減収減益を見込んでいる。

 しかし、生活必需品に根差した同社需要は、一時的な需給調整による変動はあるものの、中長期的には着実な成長が見込まれる。これらを背景に、同社では中長期的な事業規模の拡大と、企業競争力の更なる向上を図るため、重要施策を実施していく。

 具体的には、主力技術であるゼロ・クーリングシステムの更なる浸透により、既存市場の開拓に取り組んでいく。また、ワンステップ成形機の特徴である高品質・高付加価値の強みを活かしながら、量産性も追求する新型機の開発を強化し、大量生産市場への参入を企図していく。更に、二層成形法や再利用可能なプラスチック容器の成形提案など、環境配慮型容器の市場開拓に取り組んでいく。

 また、生産面においては、従前より進めているインド工場への追加の設備投資を完了し、原価低減及び納期短縮を図っていく。更に、将来的な国内生産能力の拡充に向けて、取得予定の工場用地の活用方法を含め、生産体制の再構築を検討していく。

 以上の経営施策を的確に実施することにより、次期の経営成績については、次のとおり見込んでいる。

 売上高300億円(前期比16.4%減)、営業利益54億円(同38.2%減)、経常利益55億円(同42.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益38億円(同43.1%減)。

 日精エー・エス・ビー機械㈱(6284)2021年9月期決算短信